Stambia ユーザー導入事例:仏ランジェリー ブランド Chantelle(シャンテル)


約1500のインターフェースをともなうデータ主導型情報システム

ランジェリーの世界は伝統的であり、かつ斬新です。それは、そのビジネスを支える情報システムにも反映されています。Chantelle(シャンテル)グループの技術部門のディレクター、アンドレ・ウェイ氏が統括するシャンテルの情報システムも例外ではありません。その情報システムのデータフロー管理を担うのがStambiaです。データ統合ツールの重要性は、ユーザーが日常的に意識するものではありませんが、その実装がシャンテルのビジネスを根幹を成し、デジタルトランスフォーメーションを牽引していることは、紛れもない事実です。

顧客とともに歩み、デジタル革命を生き抜く

1876年の創設以来、シャンテルのビジネスは著しい変革を遂げてきました。元々は家族経営で、伝統的なB2Bマーケットに根差しています。つまり、歴史的には、ランジェリー製品を作り、直接顧客には売らずに販売店や、専門的または一般的な衣料品店、百貨店に卸すランジェリー メーカーでした。しかし、ここ数十年で市場は劇的な変化を遂げています。たとえば、独自のブティックを開店して、販売ネットワークを構築したランジェリー ブランドもあれば、自家ブランドを立ち上げる小売店も現れました。自家ブランドでは、メーカーから製品を買い上げ、独自の製品として再販するシステムが確立されています。

当然ながら、このようなビジネスモデルの進化はシャンテルにも影響を与えました。今日、オンライン ショッピングの自社サイトを開発することはビジネスの基本であり、しかも、オンライン売上の60%はスマートフォンを通じた販売だと、アンドレ・ウェイ氏は指摘します。今や、売上の25%をオンラインに依存しているブランドもあります。このような消費者の消費行動における進化を受け、シャンテルもデジタルトランスフォーメーションを加速させ、適正なツールとアーキテクチャを厳選する必要が生じました。

消費者がデジタルの世界と現実世界を併用する傾向は年々強まっています。ランジェリー製品に対して特徴的なのは、消費者が身につけたときに心地よく、その商品に確信が持てなければ購入に至らない点です。商品コレクションはすべてオンラインで見られますが、それでも消費者は実店舗で商品を手に取り、試着したいと考えます。これは、『オンラインで調べて、オフラインで買う』消費傾向と言われますが、他の製品セクターでは、むしろ逆の傾向が見られます。たとえば、電化製品を買うとき、消費者は実店舗で商品を目で見て確かめてから、オンラインでもっともお得なオファーを探して、商品を買い求めます。つまり、ランジェリーの世界では、消費者の体にぴったりとフィットしなければならないという製品の特殊性が、他とは違う消費傾向につながっています。

シャンテルのデジタルトランスフォーメーションは、このような消費者のコミュニケーション チャンネルへの適合性だけでなく、新しい販売モデルを切り開く試みにも対応できなければなりません。たとえば、シャンテルでは、競合他社にも見られる「ホームフィッティング」サービスの導入を検討しています。したがって、オムニチャンネルがデジタルトランスフォーメーションの重要な要素になります。具体的には、消費者とのコミュニケーションと販売のチャンネルの交差や組み合わせによって、顧客の期待を超えるサービスの提供を目指します。顧客が何を、いつ求め、どのチャンネルを通じて提供するのが最適なのかを知ることが大切です。

この課題はサービスの複雑化とともに増幅しています。そもそも繊維業界では、サイズと色で商品を表します。個々の品物が異なる色とサイズで作られているので、同一の商品はこの2つの属性によって区別されます。しかし、ランジェリーでは、さらに複雑な区別が必要になります。たとえば、同じモデルのブラジャーが、さまざまな色に加え、バンドサイズとカップサイズで区分されます。よって、すべての商品データはRCBT(レファレンス カラー ボンネット サイズ)で管理されます。RCBTによる在庫管理では、同じRCBTの品物は、たとえ人気商品でも1店舗で週ごとに2、3点が販売される程度です。RCBTの区分が非常に細かいために、各売り場で個々のRCBTごとに大量在庫を抱えることは不可能です(通常は各RCBTが0または1点になります)。そのため、生産段階において販売予測が計算され、各RCBTの生産個数が決定されます。各店舗に各RCBTを正しい数だけ揃えるには、かなり緻密で正確な販売予測が必要になります。この予測は極めて重要で、もし買い物客がぴったり合うサイズを見つけられなければ、そのお客様は競合他社に取られてしまいます。つまり、1つのRCBTが足りないだけで1人の顧客を失うのです。ランジェリーでは、製品の細やかさもさることながら、販売予測や供給および生産計画の細やかさも欠かせません。サイズが極端な場合など、足りないRCBTを特別に追加生産することもあります。

RCBTと、それにもとづいて個々の小売店に対応することの複雑さについて説明しましたが、だからこそ、シャンテルでは実店舗とオンラインストアの連携に力を注いでいます。この取り組みは『Store to Web(店舗からウェブへ)』と呼ばれています。個々の店舗における大幅な品揃えが難しいので、代わりに「試着室」として機能するようにします。実店舗では直接商品を確かめ、購入することが決まったら、接客係がスマートフォンやウェブサイトを通じてアクセスする注文チャンネルへと案内します。セルフサービスのタブレットや、接客係の案内に沿って、店舗の中で商品をオンライン注文する仕組みです。これにより、商品を試着に訪れたお客様からのお買い上げが成立し、品不足の心配もなく、販売が最大限に促進されます。商品はその場で提供するか、あるいは直ちに自宅に発送されます。このビジネスモデルは一部の家具ブランドなどの市場ではすでに採用されています。

1500のインターフェースをともなうデータ主導型情報システム

経営上の観点から言えば、シャンテルは商品のデザインから供給と販売、生産から物流ネットワークを含め、多岐にわたる部門が1つに統合された総合グループです。さまざまな部門をつなぐデータフローは、情報システムにおいて戦略的に管理されなければなりません。アンドレ・ウェイ氏の表現によれば、シャンテルは「複数の会社が情報システムを通じたコミュニケーションで1つにまとまったグループ」です。グループ全体でChantelle、Passionata、Chantal Thomass、Darjeelingをはじめ、Chantelle LingerieやOrcantaのさまざまなブランドと、それを扱うB2BとB2Cを管理しています。このように細分化されたビジネスラインの統合は、情報システムの一貫性を保つうえでのハードルをさらに押し上げます。実際、複数の情報システムで、工程管理から供給および物流ネットワーク、直接、間接の販売、経理を含めた全般業務をERPを通じて管理し、これらが前述の各部門にリンクしていなければなりません。

この複雑さを数字で表すのに、アンドレ・ウェイ氏はアプリケーション間をつなぐ1500のインターフェースを例に挙げます。毎日使用されるものもあれば、週ごとに使用されるものもあり、精密に管理されるタスクプランにもとづいて、シャンテルの情報システムを支えています。売上4億ユーロ(約500億円)の企業が1500のインターフェースを管理しているのは、他の企業と比べてもユニークな存在であると思われます。大き目の中小企業が管理するシステムとしてはかなり複雑であり、効率性が絶対不可欠です。

現実には、物流の予測分析も大切ですが、生産の予測分析が効率性のより大きな鍵となります。前述のように、RCBTが店舗ごとに0か1の状況では、物流予測はそれほど複雑になりようがありません。一方、生産過程では、各モデルの各RCBTに対して生産すべき分量が全商品コレクションの収益率を左右します。作る量が少なすぎれば売上がなくなるし、作り過ぎればシーズン終了までに売り切るのが難しくなります。コレクションは店舗販売までに最大2年間かけて準備されます。ニーズ、流行、サイズなどを含めた需要の進化を予測するには多変量解析を必要とし、それによって企業の収益性が決まります。たとえば、20,000点生産されるモデルもあれば、50,000点生産されるモデルもあります。最初から50,000点生産して、売れ行きが好調なら再生産すればよいという指摘もありますが、現実はそう単純ではありません。製品には原材料が必要であり、後から単体ごとに緊急で追加できるものではありません。製造工程は生産スケジュールに合わせなければならず、追加の製造は後続の新しいモデルの製造に影響を及ぼします。各商品の生産個数は、その商品がお客様の目に触れる半年から1年前にシャンテルで決定されています。

現在、RCBTごとの販売予測は現場の経験値にもとづいて手動に頼っている側面があります。シャンテルでは、この予測の正確性を機械学習ツールで高める試みに取る組んでいます。

アーキテクチャの心臓はデータレイク

シャンテルはランジェリー業界を牽引する存在ではありますが、アンドレ・ウェイ氏が着任するまで、技術的に最先端を行く企業ではありませんでした。そこで、デジタルトランスフォーメーションを推進する役割として、ウェイ氏が就任しました。ウェイ氏は、情報システムを中心で動かすのはデータであり、その活用がシャンテルのデジタルトランスフォーメーションの原動力になると考えています。

今日、シャンテルのビジネスプロセスのすべての段階においてデータが使われています。さまざまなシステムに由来するこのようなデータを、アナリストが利用できるようにしなければなりません。この原則にもとづき、シャンテルでは、Stambiaのサポートのもと、すべてのデータが保管され、分析に利用できるデータレイクを構築しました。インフラストラクチャの観点では、ウェイ氏が統括するポリシーによってクラウド コンピューティングを基盤とする環境を整えています。この試みは、シャンテルの組織に新しい風を吹き込みました。

これまでのシステムはデータの統合に難がありました。新しいシステムの導入は、常にシャンテルの使用するETLツールOpenTextのGenioに依存していました。アンドレ・ウェイ氏はこの運用に「若返り」が必要だと判断しました。さらに、適切なスキルを備えた人材やアウトソーシング先も不足していました。業界には必要なテクノロジーをマスターした人材がなく、システム間の連携の基礎が十分に更新されないまま時代遅れとなっている、とウェイ氏の目に映りました。

そして、社内に統合フローの開発だけでなく、運用管理も任せられる真のシステム統合チームを立ち上げたのです。それは、情報システムのさまざまな要素からのデータの統合を司る管制塔のような役割でした。チームは社内ユーザーからの要望に応え、完全統合ソリューションを実現して、実用業務システムに直結する開発体制を完備しました。これは全体として組織の機動性を高め、製品開発のコストと時間の削減を可能にしました。

新システムの導入に際しては、複数の市場で活用されているソリューションの比較検討を行い、Stambiaを選択しました。コスト、使いやすさ、想定するユースケースへの対応力、シャンテルのエコシステムを構成する要素との相性、編集ツールの即応性など、さまざまな基準でStambiaが優れていました。ウェイ氏はこのように述べています。「Stambiaには当初Google Big Queryコネクタが欠けていましたが、われわれとともに解決策を見い出し、コネクタを迅速に開発してニーズを満たしてくれました。ソフトウェア会社がこのような対応力を示してくれることは、われわれにとって非常に大切なことです。」

《今や、データ統合はアジャイルであるこが必須です》  Chantelleグループ、テクニカル ディレクターアンドレ・ウェイ氏

Stambiaが選択されたのは2018年末で、その後すぐにセットアップされました。そして、わずか2、3か月ですべてのインターフェースが開発され、さまざまなアプリケーションへのデータフィード、Google Big Queryを基盤とするデータレイクとの連携が可能になりました。「Stambiaのおかげで、シャンテルはその開発体制において高い敏捷性を確立しました。これは当初からの約束であり、Stambiaはその約束を見事に守りました」と、アンドレ・ウェイ氏は振り返ります。初期段階でツールのテストがシャンテルの選んだ新しいB2Bポータルとの接続を通じて実行されました。このしくみは、Salesforceアプリケーションで構築されました。2019年2月の段階で、このSalesforceプロジェクトによってStambiaのデプロイメントが’加速し、専用コネクタを通じたSAP ERPからのフィードが可能になりました。Stambiaは数々のデプロイメントの中枢として機能し、この統合ツールなくしてプロジェクトの成功は考えられませんでした。

以来、Stambiaはシャンテルが使用する一連の管理ソフトウェアからのデータ抽出に使用されています。それは、SAP ERPをはじめ、CegidやCylande(オペレーション管理に使用)、人材管理システムから経理システムまでも網羅しています。「Stambiaによって、データレイクにつながるデータ インターフェースのあらゆる機能性を引き出すことが可能になりました」と、アンドレ・ウェイ氏は評価しています。

ここで言う機能性とは、インターフェースにとどまらず、データを管理し、豊かな可能性を広げてくれるものです。StambiaのELTアーキテクチャによって、データをデータレイクにロードし、確認・修正はもちろん、用途をさらに広げることができます。このプロセスが、Google Big Queryのデータ プレパレーション ツールを使用して完成されます。シャンテルにおいてデータの均質化が保たれているのはStambiaに依るところが大きいと、ウェイ氏は大きな信頼を寄せています。

データ エクスチェンジの中心には常に Stambia

2020年はロードマップの目標を高く据え、機械学習やデータ分析など、主にデータレイクの活用に焦点を当てながらも、さまざまなことに取り組みました。Stambiaの役割は依然大きく、特に旧システムからのデータ抽出、高機能トランザクション システムへのデータレイクを通じた再注入に力を発揮しています。

プロジェクトのもう一つの軸は、IBM Cognosで開発されたレポートとデータウェアハウスを、データレイクに接続されたTableau可視化レイヤーに置き換えることです。すべてのレポートとグラフィック可視化コンテンツを取り換え、データウェアハウスからの2年以内の完全移行を目指しています。これらの前向きな成果の中で唯一の問題点があるとすれば、Stambiaが成功しすぎていることです。労働市場におけるStambiaスキルの需要が高まり、シャンテルが必要とするときにすぐに人材が見つからないことがあります。しかし、これはシャンテルの方向性が正しいことの証とも言えます。

結論として、シャンテルはStambiaを選んだことにより、よりアジャイルな体制を確立し、以前のツールでなら引き受けられなかっただろうリクエストにも対応でき、ビジネス運用の新しいケースにも適応して、より迅速に、柔軟なリソースの確保が可能になりました。アンドレ・ウェイ氏はこのStambiaがもたらした成果をとても高く評価し、シャンテルが2019年にStambiaの本格活用を開始したことが、最大の成功の1つであったと認めています。グループのCEOも「過去2年間のISDの最大の成果である」とコメントしています。

 

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