Veeam ONE Ver10 の新しいアラーム/修正機能および診断機能の強化


Veeam Availability SuiteのVer10ほどになると、リリースの新機能リストを読むだけで興奮冷めやらぬ気持ちになりませんか。一つひとつの新機能を毎日のバックアップ作業にどのように組み込むのか、優先順位を決めるのに頭がいっぱいになるユーザーも少なくないでしょう。そんなときは、Veeam ONEの新機能や拡充機能リストで頭を埋め尽くす代わりに、まずV9 Update 4の2大機能Veeam Intelligent DiagnosticsRemediation Actionsを見なおし、それらがどのように強化されるのかを検証することから始めましょう。

2019 Technology Spending Intentions Survey(2019年テクノロジー投資目的調査)では、米調査会社MSCIがESG(環境・社会・ガバナンス)投資に関連し、将来のデジタル トランスフォーメーションの主導に向けたもっとも重要な目標は何かと企業に問いました。そこでいちばん多かった答えが「業務の効率化」であり、そう答えた企業の59%が、人工知能と機械学習のテクノロジーに2019年は2018年以上に投資すると示唆しました。ここで明らかなことは、予算と労働力の縮小とデータセンターの拡大にともない、多くの企業が、少ない資源で多くの作業を可能にするテクノロジーの活用を目指している点です。鍵となるのはインテリジェント オートメーションです。IT環境が自動的に最適化され、SLA(サービス レベル アグリーメント)の厳しい要件を満たすレベルで機能し続けることを可能にするインテリジェントな自動化が求められています。

インテリジェント オートメーション

Veeam ONEで問題を自動的に検知してアラームに対処するのはもちろんのこと、Veeam ONEに内蔵されたバックアップやコンフィギュレーション エラーの自動修正機能を活用しているユーザーもすでに大勢いることでしょう。とは言え、これらはまだ比較的新しい機能です。この機会に、このようなVeeam ONEの機能について復習し、そのうえでバージョン10にどのような強化がもたらされたのかを見ていきましょう。

Veeam Intelligent Diagnostics(インテリジェント診断)は、インテリジェントなデータ管理を実現する機能です。バックアップ サーバーにインストールされたVeeam ONEエージェントが、バックアップ サーバー ログのデータを分析し、一般的なコンフィギュレーション エラーや既知の問題(Veeamカスタマー サポートが確認・マーク済みの問題)を探し出してくれます。問題が検出されると、アラームあるいはシグネチャーによって対応措置が起動され、トラブルシューティングを円滑にする情報が提供されます。

図1: Veeamインテリジェント診断プロセス

さらにVeeam ONEエージェントが活躍するのが、Remediation Actions(問題修正アクション)です。これにより、アラームの発動後ただちに特定の「アクション」が自動的に実行されるように設定することができます。問題のすばやい修正のために、前もって定義された数々のアクションが利用でき、またスクリプトによって独自のアクションを作成することもできます。どちらのタイプのアクションも、アラーム発動後の自動実行と、必要に応じた手動実行の両方に柔軟に対応します。

Veeamインテリジェント診断(VID

これら既存の機能はVeeam ONEバージョン10で拡大され、問題の検知能力が向上し、今までできなかったような問題解決が自動化されました。VIDによるログ分析は、バックアップ サーバーからだけでなく、プロキシやリポジトリを含むバックアップ インフラストラクチャの追加要素からも実行可能になりました。ログの収集と分析の対象が大幅に広がったこと、ならびにVeeamサポートチームからのサポートの充実により、ユーザーはバックアップ環境全体を通じて、問題やコンフィギュレーション エラーを修正できるようになりました。これに加え、VIDには複数の言語でログを分析する機能も備わり、世界のさまざまな地域のユーザーにシグネチャーがより利用しやすくなりました。さらに、もう一つ注目すべき新機能は、Veeamバックアップ サーバーにインストールされたホットフィックスを検知できるようになったことです。VIDがバックアップ サーバーからのログを分析し、ホットフィックスによって解決可能な問題を見つけた場合、そのホットフィックスが適用されたのかどうかが見極められ、問題の判別をより正確に行うことができます。

Remediation Actions

またVeeam ONEでは、問題のRemediation Actions(修正アクション)を柔軟に設定できることが、データセンターとバックアップ環境の健全性の維持に大きく貢献しています。企業のIT部門にとっては、「監視の目」が増え、データ保護の問題への迅速な対応が可能になる、とても有用性の高い機能です。既存のRemediation Actionsには、バックアップ ジョブへのVMの追加やVeeamZIPの実行から、スナップショットの削除まで自動実行するアクションがありましたが、バージョン10では、VMを自動的に稼働させるアクションが加わりました。これは、環境を構成するマシンのいずれかが予定外に停止し、突然アクセスが途絶えたときに便利です。このアクションを設定する際は、アラームにルールを定義する必要があります。デフォルトでは、下記のコンフィギュレーションがルールの既定値(スクリーンショット参照)となりますが、このデフォルト設定はニーズに合わせて幾通りにも変更が可能です。そして、ルールを定義したら、次はアラームの重大度に応じてアクションを設定します。これによりVeeam ONEは、アラームがエラーによって発動されたときと警告によるときとで、アクションを使い分けることができます。そのようにアクションを設定することで、Veeam ONEは自動的にVMを稼働させたり、設定に応じてPowerShellスクリプトを実行することができます。

図2: アラームに対するルールとアクションの設定

新しいアラーム

バージョン10には、潜在的問題への事前対応としても非常に効果的な数々のアラームが追加されました。これらのアラームによって、Veeam ONEの自動処理エンジンの活用がより一層拡大されました。すべてのアラームは、スクリプトによるアクションの実行で問題修正を図ることができます。そもそもVeeam ONEのVeeam Availability Suiteにおける中心的な役割はVeeamバックアップ環境のサポートであり、最新のアラームセットはまさにその課題に照準を合わせ、バックアップ環境の健全性を確保します。また、バージョン10ではトランザクション ログ バックアップの不具合のモニタリングが徹底され、SQLまたはOracleのログに異変があれば、Transaction Log Backup Failureアラームによって通知されます。このアラームには、あらかじめ定義されたアクションは用意されていませんが、問題を軽減するためのスクリプトを起動することができます。そのほかにも、災害復旧(DR)目的で数多くのバックアップ コピー ジョブを実行する環境では、新しいBackup Copy Job RPOアラームが便利です。バックアップ コピー ジョブが必要なリカバリ― ポイント目標(RPO)を満たせなかった場合に通知され、状況を確認することができます。

図3: バックアップ コピー ジョブRPOアラームの設定

図3における画面上の数値は、このアラームに対して設定できるルールを表しています。アラームを有効にすると自動的にデフォルトの値に設定されますが、必要に応じて変更することができます。画面上部のタブ オプションの中にActionsタブが含まれています。アラームにともなう各種自動処理をそのActionsタブにおいて設定します。

ユーザーのセキュリティ意識を高め、ランサムウェアなどの脅威にさまざまな角度から対処する努力の一環として、新しく追加されたアラームにはSuspicious Increment Sizeアラームがあります。増分バックアップ ジョブのサイズが以上に大きくなり過ぎた場合に、このアラームが知らせてくれます。サイズの異常な増大は、悪意あるマルウェアの存在が影響している可能性もあるので、このようなアラームによる早期発見が重要になります。

図4: Suspicious Increment Sizeアラーム

このアラームは、以前に生成された増分バックアップを新しいバックアップと比較分析することができ、バージョン10に新たに追加されたアラームの中ではもっともスマートなものの一つです。このアラームが発動された場合、第一に考えられるのは、前述のとおり、ランサムウェアがインストールされているケースです。それにより、多くのデータ ブロックが変更され、増分バックアップが異常に膨れ上がっている場合が考えられます。そのほか、ジョブに予定外のオブジェクトが追加されてしまっているケースもあります。それにより、バックアップ ジョブの速度が遅くなり、リポジトリのスペースを必要以上に消費している可能性があります。オブジェクトが予定外に削除された場合も、このアラームで検知することができます。その場合は、重要なデータがバックアップから漏れた可能性を調べなければなりません。それぞれのケースにおいて、このアラームの通知は非常に有効で、バックアップ環境を詳しく調べ、変更が意図的なのか否かを確認することができます。そして、発見された問題の解決策を自動的に適用するか、手動で行うかは、アラーム設定で指定することができます。ここでも、Veeam ONEのインテリジェント オートメーション エンジンが活用され、バックアップ環境の健全性と可用性が保たれます。

Veeam ONEの継続的な強化

本稿では、Veeam ONEに備えられたIntelligent Diagnostics(インテリジェント診断)とRemediation Actions(問題修正アクション)の機能を活用して、そこからソリューションをさらに広げていく方法を紹介しました。これは、Veeam ONEバージョン10がデータセンターにもたらす豊かな機能性のほんの入り口に過ぎません。バージョン10についてより詳しくはこちらを参照してください。バックアップ環境とデータセンターを監視して健全性を保つことは、Veeam ONEの使命であり、Veeam Backup & Replicationにおける機能性とサポートの継続的な強化を、Veeamは常に目指しています。Veeam Backup & ReplicationとVeeam ONEの組み合わせが生み出す相乗効果をぜひ試してみてください(30日間無料トライアルはこちらから)。

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