『世界を旅するふたりのサムライ』

ほぼ同じ時期に日本からの二人のビジターを迎えることになった。
このお二人はともに、これから世界を旅されるという。

一人は今年25歳の若者。
今年6月に産業能率大学が新入社員400人に対して行った調査結果によると
49%が『海外で働きたいとは思わない』という。
海外在住で働いている我々にとっては悲しい調査結果であったが、それとは逆に
積極的に海外に飛び出そうとしている若者がシリコンバレーを訪ねてきた。
中央大学在学中に『タダコピ』というサービスを立ち上げた太田英基君がその人。
卒業後もタダコピの事業拡大を行っていたが、将来は海外にでて仕事をしたい、
そのためには海外に仲間も必要、海外でビジネスができる語学能力も必要と考えたときに、
今の自分には何もないと気づいたときから海外に飛び出す決意をしタダコピを運営する
オーシャナイズを今年1月に退職したという。
彼の旅行計画は半端ではない。 これから1年以上をかけて、世界を一周するのだ。
その目的は明快。 『世界で闘える人間になりたい』  そのために世界を旅しながら、
英語を使ったコミュニケーション能力を磨き、海外で働く日本人からそのノウハウを吸収し、
海外在住で将来のビジネスパートナーとなるべく、海外のサムライを探すのだという。 
自身の目的以外にも彼にはもう一つの目的があるという。
それは内向き志向の同世代を刺激できないだろうか、海外に展開したいと思った同世代の
若者にアドバイスができないだろうかとういことだそうだ。
そういった人達には自分が見つけた海外で働く日本のサムライの情報と経験を発信すること
により若者の今後の人生への方法論とプロセスを示すという。
そのためにサムライバックパッカープロジェクトを立ち上げて、情報を発信している。
http://samuraibp.com/

もう一人のビジターは海からやってきた。
foxgloveという36フィートのヨットでカナダからご夫婦二人でサンフランシスコに
入港された浅沼良男さん。  91年にニュージーランドから日本への単独での太平洋縦断を
達成された際にはメディアにも取り上げられたので記憶にある方もいるのでは。
今から4年前に退職され、今度は太平洋を同じfoxglove号で(今度はご夫婦二人で)横断された。
横断後は夏の間にカナダ・アラスカとセーリングを楽しまれて、冬は日本に戻るという
生活を3シーズン続けられ、今年の9月からアメリカ大陸の西海岸をゆっくりと南下
されている。  太洋を横断するために選んだというfoxglove号はスティールの
ハル(ヨットのボディ)でできていて、重いが頑強なつくり。
デッキにはいくつものソーラーパネルを装備し、航海中の電力のほとんどは
まかなえるという。  岸から離れているところでも HF無線の電波を使い
メール送受信ができるPacterシステムで日本はもとより世界中のヨット仲間と通信
が可能だ。  船内も艤装品もあちこちに2重、3重に工夫がされ、セーラーのみならず
興味深いものばかりだ。   コックピット後方のバケツにセロリが保存されていたが
切り口がある上側をビニールで覆われている。 保存のための水は根からは吸収
するが、切り口がある上側から水が入ってしまうと腐ってしまうそうだ。
SFには10日間ほど滞在されて、咸臨丸の足跡を追って周辺を詮索されたり、
太平洋の単独横断をなしとげた堀江謙一さんのリトルマーメード号を見学に
いかれたり(SFマリタイムミュージアムにいまでも保存されている)した後
にGolden Gateを再びくぐりLAを目指された。  これから年末にかけて
アメリカ西海岸からメキシコに入り、来年にはさらに南下しユカタン半島から
パナマ運河を通過するそうだ。   その後はカリブ海からマイアミにあがり、次は
大西洋を横断しスペインからヨーロッパに入る計画。 ヨーロッパの到着は
来年の5月くらいの予定だそうだ。

世代は大きく違うお二人ですが、世界という大きなGlobeを自分の目で確かめたいという
熱い思いは変わらない。

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