◆ Silicon Valleyニュース:2020-06-30 ◆ by Just Skill

コロナヴァイラス(COVID-19)のインパクト
 Appleストアー,再び閉鎖
COVID-19の蔓延のため米国のAppleストアー は3月に休業に入った。5月に感染の落ち着きを見て再開したが,再び増加。アリゾナ,フロリダ,ノースカロライナ,サウスカロライナ,テキサスにあるAppleストアー18店舗を再び閉鎖する。
 Microsoftストアー,世界の直営店を撤退 同社はAppleストアーを真似て,2009年にMicrosoftストアーを展開し始めた。現在,全世界に約80店舗を構える。COVID-19のため3月に休業に入ったが,再開できなくなっている。同社のビジネスはクラウドにシフトしているため,一部を修理サービス店として残し,直販店からは撤退する。
その他
24 Hour Fitness: COVID-19で休業が続き経営困難のため,破産法を申請した。かつ,カリフォルニア州にある42ヵ所のジムを閉鎖する。
AT&T: 3400人解雇,250店舗を閉鎖
新製品・サービス
 Microsoft Teams,Zoom対抗策を相次ぎ実現 2018年にSlackのビジネスチャットを追随するべく,同社は無料版のTeamsを提供し始めた。現在はZoomに追随すべく,ビデオ会議機能を拡充している。6/2から無料版ユーザでもビデオ会議を作成可能(従来は有償ユーザのみ)にした。また,リモート授業の利用に応えるべく,画面に表示できるユーザ数を9人からZoomと同じの49人に増やした。
 Twitter,音声ツイート機能をリリース 同社は音声ツイート機能をiOSアプリで始めた。音声は最長で140秒である。ただし,連続することで最大25ツイート分のスレッドを作成できる。なお,音声での返信ツイートはできない。
 Zoom,無料ユーザにも暗号化を提供 同社のWeb会議はエンドツーエンドの暗号化を有料ユーザ向けに提供する,とこれまでは発表していたが,無料ユーザにも提供することにした。初期ベータ版は7月にリリースする予定。
 Slack Connect,企業間共有チャンネル機能を発表 今まではできなかった共有チャンネル内で会話を可能にする機能を提供することを発表した。これを使って,外部の取引企業とセキュアな会話を行うことができる。
GAFA:Google, Apple, Facebook, Amazon
 Amazon Climate Pledge Fundを開設 気象変動の対策に投資するベンチャーキャピタル基金である。二酸化炭素(CO2)の排出を削減する技術およびサービスを開発する企業に投資をするために,$20億を拠出することを発表した。 同社自身も,利用する電源は積極的に再生可能エネルギーに移行しており,同社の世界中のオフィスビル屋上には,太陽電池が施設されている。CEO・Jeff Bezos氏は,昨年,2040年までに同社をカーボン・ニュートラルにすることを宣言した。この調子で行けば,2025年には達成できるとしている。 【注】カーボン・ニュートラル(carbon neutral):CO2の排出をゼロにするという意味ではなく,排出量と同量のCO2を環境から取り除くことを意味する。 ● Climate Pledge Arena ワシントン州シアトル市郊外にKeyアリーナが建設中である。その建設費は約900万。観客席1万2800人を収容する,カーボン・ニュートラルな多目的スタジアムである。 Amazonがその新しい命名権を獲得して,Climate Pledgeアリーナと名付けることになった。命名権の金額は非公開。 AWS,小型エッジコンピューティングデバイスを発表 同社は既にエッジコンピューティング/ストレージデバイスとして,Snowballを提供している。SnowconeSnowballをA5サイズに小型化したものであり,重さ2.1 kg,記憶容量8テラバイト。利用料は,初期設定が$60,1日当り$6。AWS内へのデータ転送は無料,AWS外へのデータ転送に1GB当り$0.03。米国東部と西部から提供を始める。 Snowconeの詳細:https://aws.amazon.com/snowcone/ Amazon Honeycodeのベータ版を発表 Amazon Honeycodeは,プログラムコードをいっさい書くことなく,表計算型インタフェースやアイコンの簡単な操作で,アプリケーションを開発できるサービス。いわゆる no-code開発ツールである。これを使って,プログラミングの知識を持たない一般ユーザでも,簡単なWebやモービル・アプリケーションを作成することができる。 【JUSTコメント】 AWSは,IaaSに始まり,アプリケーション開発環境のサービス(すなわちPaaS)へ領域を広げてきた。そして,遂に一般ユーザ向けの no-codeの分野へと伸ばしてきた。これからの若者は,学生のうちからこうしたツールを使えるようになって欲しいものである。
 Apple App Storeエコシステムの規模 同社が調査会社Analysis Groupに依頼した結果,App Storeのエコシステム全体が世界で生み出した2019年の売上は$5190億にも上ることが明らかになった。なお,売上にはiPhone,iPad,MacなどのアプリでApp Store外で発生したものも含む。その内訳は次のとおり: ・アプリを通じた有形商品とサービス 79.6% ・ディジタル商品とサービス    11.8% ・アプリ内広告           8.7% 調査内容: https://www.apple.com/newsroom/2020/06/apples-app-store-ecosystem-facilitated-over-half-a-trillion-dollars-in-commerce-in-2019/ 開発者カンファレンスでの発表 去る6月22日にWeb会議方式で開催された年次開発者カンファレンスで,iOS,iPadOS,watchOS,tvOS,macOSの数多くの新機能が発表された。特に,Macは従来のIntelチップから,性能と消費電力に優れた同社の独自チップApple Silicon(Armベースのチップ)に移行することを発表した。こうすることで,同社の製品は全てApple Siliconに統一されることになる。
それを搭載するMac製品は今秋以降に発表する。このチップ変更はバイナリコードの変更を伴うが,同社は2005年にPowerPCからIntelへの変更を経験済みである。開発者には円滑な移行のため開発者キットXcode 12を提供する。同社ではソフトウェアの互換性確保のため,次の2つの方法を提供する:
・Universal 2:IntelとApple Siliconの両方の形式(Universal 2)のバイナリを生成する機能。
・Rosetta 2:Intel のバイナリを実行する機能。インストール時に,IntelのバイナリをApple Siliconのバイナリに変換する。あるいはIntelのバイナリをそのままエミュレーション・モードでApple Siliconで実行する機能
企 業・人 々
 前四半期決算(カッコ内は前年同期比)   売上
利益 前年同期比
(前年損益額) 摘 要 Oracle $104億
$31.2億 -6%
-17% 従来型ライセンスがCOVID-19の影響を受けて減収。クラウドサービス+1%,ライセンス-22%,ハードウェア-9%,サービス-11%。
 Netflix CEO,黒人コミュニティに$1億2千万を寄付 Netflixの共同創立者・CEOであるReed Hastings氏と同夫人は,下記の黒人関係の組織・大学に各$4千万ずつ(計$1億2千万)を寄付した。 同氏は,教育関係の慈善活動に熱心であり,これまでにも低所得者層の支援組織に多額の寄付を行ってきている。  
 MicrosoftとSAS,深いレベルでの技術提携 SAS(ノースカロライナ州,1976年設立)はビジネスアナリティクスとBIソフトウェアの会社。SASはAzureを推奨クラウドとし,SAS製品群をMicrosoftクラウド製品群(Azure,Dynamics 365,PowerBI)と統合させて行く。また,両社で顧客向け共同ソリューションも提供する計画である。  
 Walmart,Shopifyと提携 eコマースショッピング基盤のShopify(カナダ,2004年)は100万以上の販売業者が使用している。一方,WalmartのMarketplaceは月間1.2億人のビジターがいる。ここにShopifyの販売業者を呼び込むことで,アクセスを拡大させAmazonに対抗する狙い。  
 Lyft,2030年までに全てを電動化 同社は同社基盤上の全ての車両を2030年までに電動化あるいはゼロエミッション車両にする方針を発表した。これにはライドシェアの車両だけでなくLyftアプリでのレンタカーや専用車も含まれる。  
 Waymo,Volvoと自動運転配車サービス独占契約を締結 Alphabet傘下の自動運転車企業Waymoは,配車サービス用のVolvo電気自動車に自動運転ソフトウェアを組み込むことで,独占契約を締結した。Volvoは傘下に電気自動車のPolestarなども所有するが,傘下の企業すべてが含まれる。  
 Nvidia,Mercedes-Benzと車載アーキテクチャで提携  従来型の自動車は多数のECUが搭載され複雑化とコスト問題に悩まされている。Mercedes-Benzはソフトウェア中心の新しいコンピューティングアーキテクチャを共同で開発することで提携した。これはNVIDIAのDrive AGX Orin SoCに基づき開発される。  
VC投資
主なベンチャーキャピタルからシリコンバレーのスタートアップへの投資(投資額$10 Million 以上)【注】$1M≒\1億1千万
 シリコンバレー企業 
社名 設立年 今回投資額 投資額合計 ビジネス分野
Palantir Technologies 2004 $500M $2500M データアナリティクス
 サンフランシスコ企業 
Clockwise 2016 $18M $31.4M AI活用の作業時間管理システム
Streamlit 2018 $21M $27M MLモデル作成のためのオープンソース・フレームワーク
Big Health 2010 $39M $54.3M 精神医療向けのディジタル医療サービス
Upgrade 2016 $40M $202M Fintechサービス
Degreed 2012 $32M $185.2M スキル向上のための学習プラットフォーム
DoorDash 2013 $400M $2500M レストランの料理配達
Nylas 2013 $25M $55M Eメール,カレンダ,コンタクトプロバイダからデータをアクセスするためのAPIプラットフォーム
Rasa 2016 $26M $40.1M 自然言語処理
UJET 2015 $55M $100.6M クラウド・コンタクトセンタ
Tanium 2007 $117M $900M セキュリティシステム管理
M & A
買収元 買収額 買収された企業
社名 設立年 ビジネスの内容
IBM 非公開 Spanugo 2017 ハイブリッドクラウド向けサイバーセキュリティ対応の保証
Square 非公開 Verse 2015 欧州向けP2P決済アプリ
Facebook 非公開 Mapillary 2013 クラウドソーシングによる道路の写真による地図データベース
非公開 Ready at Dawn 2003 人気VRゲームの開発スタジオ
Apple 非公開 Fleetsmith 2016 Apple製デバイスの設定のリモート管理
Amazon $12憶 Zoox 2014 自動運転技術

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