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起業家セミナーVLAB

シリコンバレーにいると、数々のビジネスイベントがあるが、
その中でも起業に関するものが非常に多い。
シリコンバレー在住の日本人達が情報交換の場や起業した人達の講演を聴く目的の:
SVJEN ( Silicon Valley Japanese Entreprenuer Network )
http://www.svjen.org/
日本人プロフェッショナル(特にエンジニアの人達)がシリコンバレーで
働くことを支援するNPOとして:
JTPA ( Japanese Technology Professionals Association )
http://www.jtpa.org/
など日本人を対象としたものもある。
今回は、対象がもっとひろく、シリコンバレーの中心ともいえるStanfordのOB達や
MITのOB達、そしてシリコンバレーで働くボランティアらが運営する
MIT/Standord Venture Labの講演にでかけてきたので、それについて書いてみたい
と思う。 

Venture Labの活動スタートは1990年というから、日本のバブル経済破綻とは対象的に
シリコンバレーで半導体、ITなどが急速に発展しはじめた頃。
起業したい人も、新しいビジネスアイデアに投資をしたいVentureも非常にアクティブに活動し、そしてシリコンバレーの中でパートナーをお互いに探していた時代に生まれた。
V-labの講演は月に一度で毎月いろいろなジャンルやテーマに的をしぼり、
Board チームがMeetingを重ねて講演者やモデレーターの選出から、
無償での出演交渉を行い、実現しているイベント。
Stanford大学の広大な敷地の中Stanford Business Schoolの施設を借りて
V-Labは開催される。
講演前には1時間のNetworkingがある。
チェックイン時にバッジを受け取り、自身のカテゴリ(起業家・投資家・プレス・その他)に色分けされたシールと一緒に胸に貼り付けていざイベントに。
スナックをつまみながら、各自自己紹介やいろんな人達とビジネス談義。
会場を見渡すと、シリコンバレーの人種比率の縮図が見える。
インド系、中国系の参加者が半数を超えている。
ネットワーキングの後は講演会場に移動。
今回のテーマは 『 The Real Time Web 』
ネット上のサービスが百華繚乱の中でリアルタイム制にこだわったサービスを提供する
ベンチャーからの4人が本日のパネリスト。
今現在、わずか一分間にネット上で:
500,000 個のコンテンツがFacebook上で公開される
70,000 の bit.ly リンクが作成される
25,000 のつぶやきがTwitter上を流れる
1,000 サイトでブログが更新され
20 時間のビデオがYoutube上にアップロードされる
という、リアルタイムでネット上の情報を、今知ることがいかに大切かを知らしめるキャッチコピーに釣られて参加したのだが、モデレーターからの最初の質問、
『本日bit.lyのリンクを5個以上作った人は会場にどれくらいいますか?』
に半分ちかくが挙手したところからも、シリコンバレーでの情報の流れはもっと早いということを、実感する。
そのbit.ly だがいわゆる長いURLを縮めるリンクを作成するサービスだけだと思っていたが、実際にはそのリンクに対する情報を提供するサービスが彼らの収入源になっているという。
URLの短縮サービスを行っている会社はいくつかあるが、Bit.lyは短縮されたURLを提供するだけでなく、バックグランドでそのURLに世界中のどこのサーバーから、何件の人がクリックしたのかという情報をリアルタイムで提供しているのだ。
GoogleやYahooで人が何かを検索するように、ネット上にいる世界の人達が今何に(どんなURLに)興味を持っているのかがわかるというわけだ。
TwitterがBit.lyのURL短縮サービスをオフィシャルにサポートしてから劇的にアクセスが増えた。2010年の3月にBit.lyのリンクがクリックされた回数はなんと3billion以上にまで膨れ上がっている。
Yahooの検索におけるクリック数が7.5 billion/ monthというから、2008年の半ばにスタートして、現在でもこのサイトを運営しているエンジニアの数はまだ、たった7名というベンチャーがYahooの半分のクリック件数を実現しているのは驚異的な事だ。
そしてここにあつまる情報をもとめて、パートナー企業が殺到しているという。
URLを縮めるサービスからお金が生まれるのではなく、そこに集まる情報に価値を見出し、その情報をつかって新たなビジネスが生まれるのだ。
パネリストとして参加したGeroge ZacharyはTwitterに投資したことで有名なCharles River
VentureでのTwitterに投資するかしないかの議論を紹介してくれた。 
『120文字の他人のつぶやきがなぜ、サービスとしてユーザーを集めることができるのか?
そんな馬鹿げたサービスなど投資価値ゼロ』というメンバーと、『こんなに面白いサービスは見たことがない。
今すぐに投資を行うべきだ』というメンバーとの間で延々議論が続き結論がなかなかでなかったそうだ。
結局Charles RiverはTwitterに投資を行い、ネットVCとしての評価を多いにあげたわけだが、この議論を境に、ネットビジネスの投資判断基準が社内で変わったと言う。
即ち、多数が賛成か反対かにまわってビジネスが予測できるようなサービスは流行らないという。
逆に意見が真っ二つに割れるようなビジネスにチャンスがあるのだそうだ。
こんな話も会場からVLAB参加者のスマートフォンからリアルタイムにどんどん発信されていく。
MIT/Stanford Venture Lab

井から飛び出した蛙(かわず)達

最近ビジネスを成功に結びつける方程式が通じなくなりつつあるとのエコノミストのレポートもあるシリコンバレーだが、グローバルなエンジニアを目指す日本の若い人たちにとってのシリコンバレーの輝きは以前にも増しているようだ。
ITFrogsというグループのシリコンバレー訪問にお邪魔する機会を得た。ITFrogsとは沖縄県に暮らす、将来起業をしたい、または起業に係わりたいという若者を沖縄県、それにNPO法人2組、沖縄県内にあるIT企業7社がサポート しているグループ。 昨年度に続いてシリコンバレーへの訪問は今年で2回目になるそうだ。文系、理系を問わずメンバーを公募した中から、選抜をくぐりぬけた8名の若者(年齢は18歳~21歳)がシリコンバレーの企業見学をしながら研修を行う。彼らと会ったのは、バレー滞在6日目の夜となった。 IT系の企業を見学しながら合間には彼ら自身が研修を通じて完成させなければならないAndroid携帯に乗せるアプリの開発を行っているという。 今回のバレー訪問の数ヶ月前からアプリの企画アイデアからスタートし、バレー訪問の間にも思いついたイメージやビジネスプランも具体化して いきながらAndroidで動作する独自のアプリ開発の完成を目指すという。ITに興味があるというだけではなく、彼らが育った沖縄にそういうビジネスを立ち上げたいという強い思いが感じられた。話をきくと、沖縄出身の先輩達がいざ学校を卒業して就職となると、どうしても県外にいかざるを得ない状況を肌で感じていたバックグランドもあるようだ。総務省統計局 『社会・人口統計体系』 (2008)によると、沖縄県の県外就職率は全国でも3位。
千葉県 34.8%埼玉県 32.4%沖縄県 32.4%
そんな彼らにとっては、ソースコードを公開し、搭載されるアプリの開発が誰でもできるAndroidプラットフォームは宝の山であり、腕試しの場でもあるのだろう。自分達が考えたアプリの話になると皆、目の色が変わる。
日本ではシリコンバレーにあるようなベンチャーは生まれにくいとよく言われる。様々なコンサルタントの分析や論文があるが、そんな中で原因のひとつにAttitudes,個人の姿勢や考え方が大きく違うと指摘するものがある。チャレンジして失敗することよりも、リスクをさけて安定して成長する方向を選ぶのがステレオタイプの日本人ということになってしまうのだろう。シリコンバレーで10年以上のキャリアをもつ我々との会談の中での彼らの積極的な態度や質問を通じて、若い世代は確実に、古いステレオタイプの日本人から脱出しつつある ことを感じた。 IT業界の蛙、是非いろんなところに飛び出して活躍していってほしいものです。
http://www.it-frogs.jp/

◆ シリコンバレーニュース :2015-01-17 ◆ by Just Skill

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 市 場
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 2014年第4四半期,世界のPC出荷台数が増加に
 [1/12]
 
Gartnerの調査によると,メーカ別の出荷台数とシェアは次のとおり。
1位 Lenovo__1628万台   (+ 7.5%)___19.4%
2位 HP_____1577万台  (+16.0%)___18.8%
3位 Dell_____1067万台   (+ 8.8%)___12.7%
4位 Acer
_____679万台   (+11.6%)___8.1
%
5位 ASUS
____630万台   (+ 0.6%)___7.5
%
その他_______2797万台    (-12.8%)__33.4%
_______________________________
全体 _______8375万台     1.0%)
2012年以来、モービルデバイスに押されてPCの出荷は減少し続けて
いたが,昨年は増加となった。
───────────────────────────
 2015年,世界のIT支出の予測は2.4%増
 [1/12]

Gartnerの分野ごとのIT支出の予測は次のとおりである。
デバイス____________$7320億 (+5.1%)
データセンタシステム__$1430億 (+1.8%)
企業ソフトウェア______$3350億 (+5.5%)
ITサービス__________$9810億 (+2.5%)
通信サービス______$1兆6380億 (+0.7%)
__________________________________
総額_____________$3兆8280億 (+2.4%)
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 クラウド・コンピューティング

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 Facebook,企業向けSNSをベータ公開 [1/14
]

Facebook At Workは企業利用のためのFacebookであり,個人

アカウントとは別の仕事用のアカウントを設定し利用する。社内
情報共有やグループコミュニケーションとして活用できる。共有し
たコンテンツは社内ユーザあるいは特定のユーザ間で閲覧可能。
当面はパイロットプログラムに登録した企業のみが利用できる。
iOSまたはAndroidアプリとして提供される。ユーザ情報の収集は
行われず,広告の表示もされない。
【JUSTコメント】
Facebookが企業向けのSNSを開発していることは、かねがね噂
されきたが,遂に出た!きっと,伝統的なグループウェアよりも
使い勝手が良いことであろう。早く使ってみたいものである。
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企 業・人 々
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 Apple関連ニュース
 新本社ビル建設現場を公開
シリコンバレーCupertino市にある同社の本社ビルから2キロメートル
離れた広大な土地にドーナツ型の新しい本社屋を建設中である。
その建設総工費は$50億であり,2016年に完成予定。社員1万2000人
を収容できる。
地下には1000人を収容できる大集会ホールがあり,その建設費用
だけでも$1億6000万。フィットネスセンターのそれは$7400万。
建築現場の周囲は高い塀で囲まれていて,中の様子は見えない。
酔狂な人たちがDroneを飛ばして,無断で撮影したビデオがYouTube
に掲示させてきた。
この度,同社は公式に建築現場のビデオを公開した。
ビデオはこちら ⇒   http://vimeo.com/115217648
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 従業員の雇用増大
同社は昨年,新たに9000人を正規採用した。それによって,現在の
従業員数は7万2800人である。
同社の街中にある小売店Apple Storeは世界15ヶ国で437店舗になった。
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  Intel関連ニュース
 前四半期の売上 $147億(+6%) 利益 $37億(+39%)
売上はPCクライアントグループ+3%,データセンタグループ+25%

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第5世代Coreシリーズを正式発表 [1/5]

同社はノートPCやデスクトップの主力CPUの新シリーズを昨年8月

に一部を発表していたが,この度,その全容を明らかにした。
製造プロセスは4世代の22nmから14nmに向上し,トランジスタ数
は35%増加するも,面積は37%減少した。性能は3Dグラフィックス
で22%,動画変換で50%向上し,さらにバッテリ効率も高めた。
────
 スティック型PCを発表
 
[1/5]

Compute StickはUSBメモリの2廻り程大きな筐体に,タブレット

相当のCPU(Atomの4コア),メモリ,ストレージ,WiFi,各種インタ
フェースを埋め込んだ製品である。モニタのHDMI端子に差し込
利用する。製品にはWindows 8.1版とLinux版がある。
 Windows 8.1版    :価格$149,メモリ2GB,ストレージ32GB
 Linux(OSなし)版 :価格$89,メモリ1GB,ストレージ8GB
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 Google TVはAndroid TVへ
 [1/6]

同社はGoogle TVの後継となるAndroid TVを発表した。対応TVは

今春,Spny,Sharpなどから順次発売予定。スマートTVを実現し,
より簡単に自分の見たいコンテンツへ到達できるほか,Android
デバイスとの連携機能など用途を大幅に拡大する。
───────────────────────────
 WhatsApp,月間ユーザ数が7億人超え
 [1/6]

同社は世界最大のメッセージングサービスの会社であり,昨年2月に

$190億でFacebookに買収された。
月間アクティブユーザは昨年8月に6億を超え,昨年末で7億人を超えた。
なお,Facbookのそれは13億人,Instagramは3億人,Twitterは
2.8億人である。
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 2014年の米国特許取得数の番付
 
[1/13]

IBMは前年比10.6%増で,過去22年間,取得数の首位を守っている。

Googleで同39%増で,昨年の11位から8位に上がり,Appleは
13%増で,13位から11位に上がった
 _____取得数
1. IBM            7534
2. Samsung    4952
3. Canon         4055
4. Sony           3224

5. Microsoft     2829
6. Toshiba       2608
7. Qualcomm   2590
8. Google        2566
9. LG Electronics  2122
10. Panasonic       2095
11. Apple          2003
 : :
50. Amazon.com  745
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 Google Glass,一般販売を終了
 [1/15]

同社は眼鏡型のデバイスGoogle Glassのエクスプローラプログラム

を終了することを発表した。一般販売は終了するが,企業向けや
開発者向けには継続される。

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V C 投 資
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最近のVCによる主な投資先と投資額(投資額$1000万以上)

 Neo Technology,$2000万を獲得(VC投資合計 $4410万)
本社: シリコンバレーSan Mateo市,2007年設立
ビジネス分野: グラフ・データベース


 
 App Annie,$5500万を獲得(VC投資合計 $9400万)
本社: サンフランシスコ市,2010年設立
ビジネス分野:ビジネスインテリジェンス
 Ginger.io,$2000万を獲得(VC投資合計 $2820万)
本社: サンフランシスコ市,2011年設立
ビジネス分野: スマートフォンを使って医療データ収集

 
 MongoDB,$7999万を獲得(VC投資合計 $3億1110万)
本社: ニューヨーク市,2007年設立
ビジネス分野:ドキュメント・データベース

 
 Treasure Data,$1500万を獲得(VC投資合計 $2300万)
本社: シリコンバレーMountain View市,2011年設立
ビジネス分野: ビッグデータ・マネジドサービス

 
 Glassdoor$7000万を獲得(VC投資合計 $1億6150万)
本社: カリフォルニア州Sausalito
市,2007年設立
ビジネス分野:キャリア支援とリクルーティング・サービス

上記の企業に関する詳細をご希望の方は,弊社にお問い合わせ
ください。⇒ 
info@justskill.com 
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M & A

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 Facebook,次の2社を買収

 Wit.ai(シリコンバレーPalo Alto市,2013年設立) [1/5]
オープンソース
の自然言語基盤の開発会社。
ライセンスはオープンデータ方式で他の会員に対して利用を許可す
れば無料。それ以外は1日当たりのクエリ数が250までは月額$9,
5000までは$99,25000までは$499である。
 QuickFire Networks(カリフォルニア州San Diego市,2012年設立) [1/8]
動画のコンテンツ配信やトランスコーディングなどの際にファイ
サイズ圧縮,時間短縮の独自ハードとソフト基盤の開発会社
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シリコンバレーを中心とした最新情報を,不定期に無料で配信。

ここに掲載した通信文は,各種ウェブサイト,企業が公開した情報,

Just Skill社がシリコンバレーで収集した情報などを要約したものです。
(c) Just Skill, Inc. San Jose, California

http://www.justskill.com/

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『Dropcamに見る日米ビジネスの違い』

アメリカマーケットでDropcamという商品がヒットしている。 
インターネットに繋がるいわゆるWeb Cameraのひとつ。 
市場には沢山のWeb Cameraがあるが、その中の一つの製品。 

HDクオリティの動画を撮影可能だが、カメラのズーム、パン、など市場にあるハイエンドの
サーベイランスカメラができるような機能はついていない。 
Dropcamは無駄な機能や無駄なデザインを排除しあくまでもコンパクトでシンプルな
作りに徹底している。 
カメラ本体には撮影した動画や静止画を保存するメモリカードもなければ内蔵のメモリもなく、
ミニUSBのコネクターが一つあるだけ。  
説明書もなく、中にはシンプルなカードが一枚だけ。イラストと簡単な文章でカメラの
設定方法が書かれている。 
イラストに従って、カメラ本体にUSBのケーブルを差し込み、反対側をPCに接続する。  
これによりカメラがPCに認識されてまずはWifiの設定。
それが終わるとDropcamのアカウント作成を行うだけ。 
アカウントを作成したメールアドレスに確認のメールがくるのでそれに返信すれば
カメラを使う準備は全て終了。  USBケーブルをPCから外して、そちらに付属の
ACコネクターをつければ、これがカメラの電源供給ラインとなる。 
カメラを設置したい場所において、USBケーブルにつけられたACコネクターを
コンセントにさせばカメラにあるLEDが点灯してカメラの映像がストリーミング
開始されている。   

カメラの映像はどこでみるのかというと、先ほど登録したDropcamのアカウントに
ログインすると、カメラの映像が見えるという仕組み。 
カメラの画角が130度と広いおかげで、壁際におけば室内は映像内にほぼ網羅できる。
使ってみると、カメラ側のズームやパンなどのメカニカルな機能がそれほど必要ないことが
わかる。  
Dropcamのライブ映像上で見たい部分を選んでブラウザー上でズームやパンが思い通り。
HDのクリアな画像のおかげで、デジタルズームされた部分もそこそこクリアに見る事が
できる。Dropcamにはマイクも内蔵されているので、音声の配信も可能だ。
カメラ本体のOn/Offはもちろん、タイマーの設定、マイクのOn/Offからナイトビジョンの
設定なども全てDropcamにログインすればブラウザー経由でコントロールできる。
 
そして何よりも感心したのが、Dropcamのログイン後に行えるクラウドでの
録画サービスだ。 
Dropcamが設定されて電源が入ってから、カメラの映像がクラウドに自動で
録画されている。 
タイムバーを移動することで、好きな時間のカメラ映像を遡ってみることができる。 

また、カメラの映像に動きがあった場合にはMotion Detect機能が働き、タイムバーの
上にマークがでるので、過去の映像の中で何か変化があった箇所が直ぐにわかる。 
このMotion Detect はカメラの画面の範囲内で設定場所を指定することができるので
セーベイランスカメラとして使う場合には、建物の出入り口や駐車場だけを選べば
それらの範囲内でなにか動きがあった映像だけを見る事も簡単にできるし、メールなどに
Notificationを送ることも可能。
もちろんiOS/Android向けのアプリも用意されPCがなくても同様にカメラの画像の
視聴からクラウドに録画された動画のコントロールもできる。

シンプルな作りのおかげでカメラ本体の値段は$150~と手頃な値段になっている。   
また、カメラの利用者はクラウドの録画サービスを月単位、年単位で購入することが
できる。 (購入から30日はクラウド録画サービスがフリー。) 
クラウドに残しておく映像のサイズ(過去7日間とか30日間から選択)にもよるが
月額で$9.95, 年間で$99の購入費用となる。    

これこそが、シリコンバレーが得意なビジネスモデル。 製品価格をなるだけ安く
抑えてハードウエアを普及させて、その後にはソフトによるサービスを付加し、それに
価値を見いだしてもらった顧客からサブスクリプションモデルで利益を稼ぐ。 
ハードウエアにお金をかけて、いろいろな機能を加えて差別化を目指した日本の
電化製品とは対局のビジネスモデルだ。    

Dropcamは大ヒットしアップロードされる動画の数はYoutubeよりも多いとメディアでは
伝えている。  
そんなDropcam社だが今年の6月にGoogle傘下にあるNest Labsに
$555Millionで買収されている。 

『サンフランシスコの家賃急騰』

新しいスタートアップビジネスがシリコンバレーの中心から、SFに移動しだしたこともあり
ここ数年はSFへの人材の流入が激しい。 特にサンフランシスコシティが開発に力を
入れていたSOMA地区。 
オフィスビルだけでなくレジデンシャルアパートメントもかなりの数が建てられているが
それでも、住宅の供給不足の様子で市内の住宅用アパートの家賃が異常な高騰を
続けている。 
Priceonomicsの調査データによるとSF市内では1ベッドルーム(1LDK相当)の
月額家賃が一番高いエリアはMarket Stのベイブリッジ寄りの
Financial Districtで平均家賃が$3600、Market St.の南のSOMA地区で$3359、
SF市内全体の平均値でも$3120という異常な状況。 
2ベッドルームならば$4000, 3ベッドルームなら$4795というのが平均家賃とは
信じ難い水準になっている。

確かに過去2、3年はSFベイエリア全域で景気の上昇に合わせて家賃も上がってきたが、
SF市内はその中でも特別で、2011年から3年間での上昇率を見ると市内の
調査箇所36のうち8のエリアで上昇率が50%を越え、トップのBernal Heightsエリア
に至っては101%だった。 
たった3年の間に家賃が倍になってしまうなんて、高騰とはいえ、度を越えた事態だ。 

家賃が高い地区を見ると、昔からSanFranciscoを知る人は少し驚くかも知れない。 
以前よりステータスが高く、よい住宅街として知られていた地区よりも、
以前であればあまり治安もよくないと言われていた地区の方が家賃が高くなってしまった
傾向がある。 
いくつかの要因があるが、一つはSfシティの開発計画による。 
治安が悪いとされた古いエリアを積極的に新しい町として再生できるよう企業の誘致
とともに新しい住宅を建設する開発計画が実行された結果であろう。 
また、治安が悪かったエリアが高速道路などのアクセスが良かったことも幸いしている。 

ここ数年大きく雇用を生み出しているハイテク企業、Google, Apple, Facebookなど
はシャトルバスをこれらエリアをカバーするように配備し、社員に足を提供している。 
朝、晩の通勤時間帯にこれらの企業のシャトルバスを高速道路で見かけるのはもはや
日常となっている。 

社員達もバスの移動中にはNetwork環境が提供されているので、仕事をスタートすることも
でき、車を自身で運転し高速道路上で一時間以上も自身の時間をロスするよりも
ずっと効率的だ。 

とはいえ、ここまで家賃が上がると、いくらハイテク企業とはいえ、彼らの賃金の上昇率を
越える形で家賃が上昇してしまい、昨今ではこれらのエリアを諦めてSF市内、
ベイエリアを離れる人も出始めているという。 ベイエリアの中心から少し離れたエリアに
住居を移し、通勤は週に1、2度必要なときだけ行い。
あとはビデオ会議やカンファレンス、それにインターネットを通じて会社のネットワークに
入り自宅から仕事をするというホームオフィススタイル。 
住宅の家賃上昇が落ち着かない限り、この傾向は暫く続くかも知れない。 

『ライドシェアサービス』

昨年くらいからSF周辺では二つのライドシェアサービス会社のビジネスが急速に
拡大している。
ピンクのヒゲをシンボルにしているLyftと、日本にも進出したUberだ。
もともとはUberがベイエリア周辺で行っているリムジンサービスの空車をつかって
始めたサービスだが、最近はリムジンの空車よりも車を持ち込みでカスタマーを
ピックアップするサービスがメインとなっている。(自分の車を持ち込んで、
カスタマーに送迎サービスを提供する、日本で言うといわゆる白タクのようなもの) 
似ているサービスの2社間では激しい競争が繰り広げられており、料金の値下げや、
ドライバーに対してコミッションを取らず、ドライバーの獲得競争が起きたり
話題になっている。  

両者ともに、今後のビジネス拡大の期待は大きく、今年4月にLyftには250億円の投資
が入ると、6月にはUberに対して1200億円もの投資が入った。 

そんな中、SFに出かけた際に始めてLyftを利用する機会があった。 
まず、Lyftが提供しているアプリーケションをダウンロードして立ち上げる。 
ユーザー登録の際にクレジットカードの登録が必要だが、あとは必要な情報を
入力するだけ。 
Facebookと連携しているので、そちらでログインすれば追加情報の入力は
ほとんど必要ない。  
早速利用してみるとLyftのアプリケーション上に周辺の地図が現れ、自身の位置に
風船マークがまた、周辺のLyftサービスを提供している車が何台も現れる。
画面横にはそれらのドライバーが現在地まで現れる予想時間が3分などと表示される。
現在の位置で車に拾ってもらいたいならば、そのままの状態でRequest Lyftの
ボタンをクリック。 他の位置でのピックアップが希望なら、その位置まで
風船マークを動かすだけ。 

Request Lyftのクリック後には、目的地がどこかを聞いてくるので、
地図上でクリックまたは住所などを打ち込んでリクエストの作業は終了。
あとは周辺を走っているLyftサービスの車の中から一台が選ばれる。 
(この際にドライバー側のアプリケーションには、カスタマーがある場所でピックアップ
を待っていることが告げられ、ドライバーがピックアップするかどうかを決めるのだが、
ドライバーはこのカスタマーがどこまで行くかを知る事ができない。これは長距離の
カスタマーだけをピックすることがなく、短距離であってもカスタマーに車を最短で
届けるLyft側の工夫のようだ) 

ドライバーがLyftのシステム内で選ばれるとすぐさまアプリ上にドライバーの
プロフィール写真とサービスに向った車の写真が送られ、到着時間はあと何分と表示
された。 と同時にドライバー側にはカスタマーのプロフィール情報と目的地が送られて
ドライバーが使うナビアプリに自動的に目的地の設定が行われる。
2分後に現れたドライバーは、僕を見つけると、Facebookのプロフィール情報
から得られた僕の名前を呼び車の助手席に座るように手で合図。 

タクシーが来たというよりは、ちょっとした知り合いが車で目的地まで送ってくれる感覚だ。
このドライバーは面白いことに、2台の携帯電話を使いLyftだけでなくUberの
サービスも供給しているとのこと。 
空車の際には2台の携帯がそれぞれLyftとUberからのサービスがないかスタンバイ
していて、どちらかのカスタマーをピックすると、それ以外の携帯の電源をカスタマー
をドロップするまで切っておくのだそうだ。  
 
結果として、彼の場合には働いている時間の80%程度は次々に客をピックアップ
できるそうだ。 
車内では、Lyftのサービスについていろいろ聞いてみると、とてもフレンドリーに
回答してくれた。
タクシーとは異なり、カスタマーとなるだけ会話してフレンドリーに過ごしてもらうという
Lyftのコンセプト通りだ。

目的地に着くと、ドライバーはアプリにカスタマーを届けたことをレポートして、
サービス終了。 
ドライバーとカスタマーの間では料金の受け渡しなどは一切ないままに車は
立ち去って行く。
カスタマーには、このドライバーに対する評価のアンケート付きのレシートが
送られてくる。 受け取って料金にびっくり! 
チップも含まれていて通常のタクシー利用の料金の半分以下だった。
しかも、今回始めて利用したカスタマーにはLyftクレジットがプレゼントということで、
支払いはなんと$0だった。  

タクシーやリムジンのように固定資産である車を所有したり、ドライバーを雇ったりする
必要がないので、利用料金は安いのだろうと想像していたが、ここまでとは。 
ドライバーも言っていたが、SF市内ではLyftとUberのおかげでタクシーを利用する人が
急激に減っているそうだ。 
呼んでからの待ち時間もほとんどなく、料金も安いならばあえてタクシーを使う理由が
見つからないだろう。   
タクシーの運転手も会社を辞めて、自分の車を使ってLyftやUberのサービスに
登録している人が増えているそうだ。  
ビジネスチャンスはどこに転がっているかわからないものだ。 

『ネット社会のプライバシー』

先日、Facebookが68万人の特定ユーザーに対して心理実験を意図的に2012年に
行っていたことがある研究者の発表により明るみにでて、ユーザーに対するプライバシーが
大きな議論となった。 
被験者に実験に参加している事実を伝えることなく、特定被験者にフィードされる投稿を
意図的にコントロールして、被験者からデーターを集めて、感情が人に無意識に伝染する
結果を論文として発表した。 
この実験を行う際に、ユーザーに対しては一切の説明はなく、被験者は自身のフィードに
対する投稿やFB上でのアクションが実験データーとして使われていることを
知らなかった。 
Facebookはユーザー登録時に、全ユーザーが同意するデーター使用に関するポリシー
を理由にFacebook側がユーザーを実験の被験者に使う権利があると主張している。 

デートマッチングサイトのOKCupidはOKtrendsという同社が運営するデーター分析
サービス会社を使って、過去に同社がサイト上のユーザーを使ってデートに関する実験を
行い、その結果を同社のブログ上に公表した。 プライベートポリシーでFacebookを
批判しているユーザーにソーシャルメディア上では、ユーザーを使って実験するのは
当たり前と主張し、真っ向から挑戦しているようだ。   

OKCupidの実験は、サイトに投稿される写真で相手がどのように影響を受けるのか
調べるために、意図的に相性がよくないとされる男女ペアを抽出し、その二人には
それぞれ相性がよい相手として紹介を行い二人が上手くいくかどうかを調査した。 
(OKcupidでは相性を%でユーザーに知らせているが、実際には30%のペアに対して
相性が90%と虚偽の情報を伝えて、メッセージから会話に繋がる比率を比較した)
OKCupidのケースもFacebookと同様に、プライバシポリシーとして、ユーザーがサイト上
で行った内容については ”OKcupidが集められた情報として、サービス、製品、
コンテンツの利用状況として研究分析に使われることがあります” と書かれている。 

OKCupidのケースでは意図的に相性を事実と変えてユーザーの反応を見たから
問題なのか? 
Facebookは事実は変えていないが、ユーザーに見える情報を意図的に操作して、
Facebookが必要な情報だけを得ようとしたから問題なのか?  
ネット上の広告や、ネット系のゲームでは、直前のユーザーの反応を見て、
ユーザーの興味を引き易い広告を出したり、ゲームに必要なアイテムをコントロール
することは周知の事実でもある。 
GoogleのGmailを使っているならば、メールの中身と関連する広告が画面上部に
現れることを体験した人も多いだろう。

オンラインゲームであれば、特定ユーザーのゲーム内容をライブで変えて、
敵を倒すことを諦めるタイミングはいつか?
敵を倒すためにアイテムを購入しやすい金額はいくらくらいか?
これらをビックデーターから抽出することは容易で常に行われているという。
インターネット上のサービスでマスが大きいものほど、サービスを提供している側と
ユーザーの間でプライベートとユーザーのデータを使用することを認めるポリシーの
議論は当分続きそうだ。 

『IoTの波』

2014年1月、Googleはネスト(Nest Lab) を32億ドルで買収した。
日本ではあまり馴染みがない、家庭用のサーモスタットや火災報知機のインテリジェント
タイプを作っている会社だ。

そもそもアメリカでは必ずといってよいほど、家庭にあるサーモスタットだが、日本では
ほとんど見かけることはない。 
これは家庭内での冷暖房家電の環境が大きく違うことに起因する。  
日本の家庭では、リビングルームやベッドルーム、各部屋ごとに冷暖房器具があり、
それぞれはリモコンでコントロールされている。 ユーザーが直接触れることはないが
サーモスタットはこういった冷暖房家電製品に内蔵されており、それを個別のリモコンで
コントロールして室内の温度を調整している。  
セントラルA/Cコントロールが一般的なアメリカの家庭では、冷暖房器具はガレージなどに
設置され、各部屋にはセントラルA/Cから排出されるエアダクトがでている仕組みだ。 
それぞれの部屋やフロアの温度調整には、壁にサーモスタットのみが設置されていて、
希望の温度を設定すると、エアダクトから温風(冷風)が吹き出して、サーモスタットの
温度計が指定された温度に達すると、エアダクトからの温風(冷風)を止めるという単純な
仕組みとなっている。 

このシステムが一般化したアメリカでは、サーモスタットは汎用部品の一つで、
セントラルA/Cなどの冷暖房器具によらず、いろいろなサーモスタットが手頃な値段
($50〜)からネストのようなインテリジェント機能を含んだ高機能な高価なもの(~ $250)
までがHome Depot, Wall Mart のようなDIY, 大型スーパーなどで手軽に購入する
ことができる。
ユーザーは調子が悪くなったサーモスタットなどを購入して自身で簡単なDIYとして、
数年おきなどに交換しているのが普通だろう。 

Nestが発売しているサーモスタットはスマートサーモスタットと呼ばれるもので、数十年来
アメリカではほとんど変わっていなかったサーモスタットの標準機能に加えて
インテリジェンスなセンサーを取り付けて、室内にいる人の動きや、ユーザーが設定する
温度の志向や行動パターン(たとえば平日は朝8時すぎから夜7時までは温度調整が
必要ない、週末には温度を調整する必要があるなど)を解析して、室温コントロールを
自動で行うことにより、効率よく電気代を節約したり、また各サーモスタットにWifiをI/F
する機能を付加することによって、ユーザーは自宅にいなくとも室内の温度を調べたり、
温度調整をスマートフォンのアプリから行うことができるようにしたもの。
  
Internet of Things、いわゆるIoTが今後は市場に急速な速度で増え、あらゆるデバイス
がインターネットに繋がる世界になるだろうと言われているが、ほとんどのThings、
いわゆるデバイスはこれからマーケットに出て行くだろうと考えられているものばかり。
 HealthマーケットのいわゆるWearable sensorにしてもスマートフォンに変わる、
ウエアラブルコンピューターにしても、これから先に開発されて市場にでていく商品。 

ところが、アメリカ市場のThermostatはNestなどのWifiが機能として組み込まれたものが
既に市場に出回っており、ほとんどの家庭で簡単に導入される大きな可能性を秘めている。 
Googleはその部分に大きな魅力を感じて買収という結論を選んだのであろう。 
スマートサーモスタットがついている家庭には人がいるのか、いないのか、どんな生活
パターンの家庭なのかをサーモスタットの温度変化を通じてネット上に吸い上げてしまう
ことも可能だ。 

Nestのアナウンスによれば、Googleは各ユーザーの許可なしには、それらの情報を
吸い上げたり利用したりはしないと言っているが、原理的には既に可能ということは
世間では周知のこと。 
今後もIoTのポテンシャルマーケットの種をもっている企業、アイデアには高値がついた
買収劇が起るだろう。 

『最近のバレー』

シリコンバレーのサンノゼ周辺では、新しいアパートの建設ラッシュが続いている。
237号線、101号線、880号線が一辺10km程度の三角地帯の中だけでも二桁近くの
新しいアパートが最近オープン、もしくは近々にオープンを目指して建築中である。 
アパートの家賃の上昇も凄い。 One Bed Room (日本よりも面積は広いが基本的には
1LDK)の家賃が$2500/month、Two Bed Room(日本の2LDK相当)になると
$3000/monthだという。 これは2008年のリーマンショック前の水準よりも 
20%程度も高く過去最高値の家賃を記録。  

株価も好調で、NYダウ平均も$16000を突破し最高値を更新中である。
今年の初めくらいには過去最低と言われていた住宅金利も上昇傾向にあり、今後は住宅価格
も再び右肩上がりに戻っていくという希望的観測が職場で話題に出る事も多い。
相変わらずIT系の企業がバレーの活気を牽引しているが、Amusementマーケットにいる日本
のゲームメーカーGREEやDeNAは苦戦を強いられている。 
アメリカの携帯を中心としてゲーム戦略では、世界一厳しいとされる日本の携帯ゲーム
マーケットで培ったノウハウで安定した利益を稼ぎだしているようだが、本家の日本の
マーケットでの売り上げ減少が大きなインパクトとなり、米国法人でもレイオフが実施される
など影響が出て来ている。
苦戦する業界があれば、今後の進出の布石を着々と実行している企業もある。 
新たにバレーに日本から進出してきたソフトバンクだ。 

孫さんはソフトバンクの本社を将来はアメリカに移す計画だというし、
自宅をシリコンバレー内のウッドサイドに購入して、月のうちの最低1週間はアメリカの
オフィスより全世界のソフトバンクグループの指揮をとる。 
今後のソフトバンクのビジネス戦略の大きな柱であるLTE通信事業の拡大、スマートフォン
ビジネスの新たな戦力拡大に向けて、本年の6月に買収した契約者數5300万のSprintにも
檄を飛ばしているという。 
また、49er’s のサンタクララに建設中の新しいスタジアムの最大収容人数68500人全員が
Wifi接続できる設備の提供を申し出ていることでも話題になっている。 
残念ながら、スタジアムのネーミングライツはリーバイス・ストラウス社に譲り、正式に
Levi’s Stadiumという名称が決まり、ソフトバンク・スプリントスタジアムは実現できな
かったがロイヤルボックスを買い占めて、畳敷の枡席を準備中らしいとか、スタジアムの
マスコットにお父さんの起用をプッシュしているなどの噂もある。 
シリコンバレーで面白い事を次々に仕掛けるソフトバンクから、暫く目が離せそうもない。 

『アメリカズカップのテクノロジー2』

前回はアメリカズカップに出場するヨットのテクノロジーについて書いたが、
今回はレースをTV画面を通じて見る側にとってのテクノロジーのイノベーションについて
書いてみようと思う。

アメリカズカップのTV放送や配信動画の映像をみた読者の方もいるのではないでしょうか?
それぞれのヨットの艇速、ヨット間の距離、ヨットコースのボーダーラインそして風向などが
ライブ放送の画面上にコンピューターグラフィックにより描かれていたことを
記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。  
アメリカのスポーツ中継ではコンピューターグラフィックをライブ放送の画面に表示させて
いるのは数年前から当たり前になってきている。 野球では、ストライクゾーンをピッチャー
後方の視線から表示して、そこにピッチングされたボールの軌跡も一緒に表示したり。  
フットボールではフィールド上に現在のボールの位置や10ヤードのゲインラインなどが
表示されている。 
また最近ではオリンピックなどの放送でランナーやスイマーの競技中の映像に世界記録
を出すためにはどの位置にいなければならないかを示すラインなどを表示している。  
これらの技術を開発しTV放送に1998年から提供している会社がSportvisionである。 

アメリカズカップではSportvisionがヨット競技専門に開発したシステムにより、画面上に
数々のグラフィックデーターがオーバーレイされている。 
他の競技よりも複雑になったシステムにはどんなテクノロジーの進歩があるのか
探ってみようと思う。 

ヨットという競技自体があまりメジャーではないので、スタートしてからフィニッシュする
まで早いもの勝ちで勝敗が決まる以外にはどんな勝負の要素があるのかを知らない
方も多いだろう。 
またヨットを走らせている風というものが目には見えないので、レース自体も見ていて
解りにくい部分も多い。  
画面の映像では明らかに前にいるように見えるヨットが、実際には後ろを走っていたり、
艇速は早いヨットのほうが負けているとアナウンスされたり。  
これらは全て、風向きに対してのヨットの位置を相対的に考えて順位を決めているために
起きることだ。 
例えば風上の目標マークを目指して2艇のヨットが競争している場合、風向きに対して
45度で、艇速10ノットで進むヨットAと風向きに対して60度で、艇速12ノットで進んでいる
ヨットBがある場合、艇速だけを比較するとヨットBの方が速く進んでいる。  
ところが、風上の目標マークに対してはどうだろう。それぞれのヨットの風上方向へ進む
速度成分を求めると7.07ノット(10ノットのSin45 )と6ノット( 12ノットのSin 30)と
いうことになり、ヨットAのほうが風上の目標マークに対しては1ノット程度速く進んで
いるということになる。 
このようにヨットレースではヨット自体のスピード艇速だけでなく、艇速の風上成分の
速度(VMGと呼ばれる)を上げることが非常に重要であり、レースの大きなポイントとなる。  
そしてもう一つヨットレースを複雑にしている要素として、ヨットを進めるエネルギー源で
ある風がつねに変化しているということがある。 
ある時点では風上の目標マークに近い位置にいたとしても、風向が変化してしまうと
目標マークに遠くなってしまうこともあるのである。 
 
アメリカズカップのレース中の映像について話を戻してみよう。 
レース中の相手のヨットとの距離が表示されているが、2艇の間の物理的な距離を表示
しているのではなく、風上(または風下)の目標マークに対してリードしているヨットと追い
かけているヨットに風向に対して90度の線を引き、その線と線の間の距離がどれくらい
あるのかを表示しているのである。  

ヨットに搭載されているGPSのデータをとれば2艇間の物理的な距離を出すことは簡単
にできるが、風に対する相対的な距離をだすには、画面には見えていない風向の情報
をデータもなければ計算ができないことになる。 
もちろん風向が変われば、それらの距離も逐一計算し直されている。  

次にそれらの計算結果を画面に表示する場合を考えてみよう。 フットボールフィールドや
野球場の場合には撮影しているカメラ位置は固定されているので、計算結果のグラフィック
を画面に重ねることは比較的用意に行えるが、海上で撮影が行われているヨットの場合は
どうだろう。 ヨットレースの場合は固定カメラが使われることはほとんどなく、ヨットに搭載
されえいるオンボードカメラを使ったり、ヘリコプターによる空撮を行っている。 これらの
場合には撮影するカメラ側もつねに動いているわけである。 
(ヘリの場合には2次元だけでなく高度の変化も加わった3次元の変化となる) 

アメリカズカップの場合には、精度の高いGPSがそれぞれのヨットに取り付けられており、
それらのヨットの位置が5cm程度の誤差でプロットできる。
そこに風向を加味して、目標のマークに対してどちらのヨットが近いのかを示すラインを
引いて、その間の距離を計算する。 
そして、それらの情報を画面に出す際に撮影しているヘリ上のカメラの位置、高さ、そして
カメラの海面に対しての傾きも計算して、画面上に情報をオーバーレイ。 
それらを生中継の映像に1秒の遅れもなく表示させているのである。 
アメリカズカップの中継画面上にあるコンピューターグラフィックには、いかに高度な計算と
高速処理が必要なのかが改めてわかるだろう。 

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