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ハイブリッド・クラウド環境でパフォーマンスを測るには

ITサービスの質を正確に測るのは難しい。特に、第三者を通じてユーザーにサービスを提供しているような場合、そのパフォーマンスを計測するのは困難である。

クラウドコンピューティングが大きく注目されている今日、この課題はより大きな意味を持つ。なぜなら、多くの企業はプライベート・クラウドとパブリック・クラウドを併用するハイブリッド・クラウドを採用しているから。
そこで、ITサービスの質を測るのためにSMI(Service Measurement Index)を用いることが考えられている。自社のサービスのパフォーマンスが、クラウドプロバイダの環境下で、どのようになっているのか、といった基本的な問題からはじまって、複数の環境下でのパフォーマンスの違いや、社内と社外での違いなど、検討課題は多岐にわたる。

Cloud Services Measurement Initiative Consortium (CSMIC)の考案するSMIが、その標準的指標となることが期待されている。SMIは信頼性、機動性、確実性、経済性、パフォーマンス、セキュリティ、機密性、利便性を基準とし、さらに細かい指標を設けている。

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(CA Community コラムDemystifying Quality Business Service Delivery in the Cloudより)

プライベートクラウドへの道

企業がプライベートクラウドを成功させるためには、人、プロセス、技術を含めたITの成熟度が鍵となる。自社を見つめなおし、どの分野が進んでいて、どの分野が遅れているのかを把握することが重要である。たとえば、以下の分野に注目してみたい。

マネジメント:プライベートクラウドの導入は、性急な実装につながりやすい。
仮想インフラが完全に管理できていないのに、実装を急いだ企業は、付け焼き刀のウェブポータルで次々とリクエストされたサービスを提供していくことになる。しかし、マネジメント体制が不完全なため、サービス・リクエストが増えるにつれ、資源の無駄遣いを生じやすい。

資源の最適化:上述の問題において、インフラの資源を完全に把握しておくことが必要である。資源の有用性を定期的に見直すプロセスやメカニズムは確立されているだろうか。仮想サーバーがその目的に応じ、必要な資源だけを格納しているだろうか。プライベートクラウド化では、しばしば、多目的に合う仮想マシンを稼動させ、資源の最適化なしに、その場その場で必要なものを詰め込み、そのまま放置されがちである。

クラウドはダイナミックな環境である。何が必要で何が不要なのか、定期的に再評価し、資源をモニターしていくマネジメントが重要となる。

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Computerworldコラムcloudificationより

プライベートクラウドへの道:人とプロセスと技術

クラウドコンピューティングを採用する上で、多くの企業にとってプライベートクラウドから始めることがもっとも理にかなっている。
その際、検討すべき重要課題は以下のとおりである。

1. 人

ITにおいて人ほど重要なものはない。顧客に確かなサービスを提供できる技術・知識をもった人材が重要であると同時に、その人材を最新の技術から遅れさせないための教育も欠かせない。ニーズを正しく理解し的確なソリューションを提供できる心構えも大事である。

2.プロセス

ITはすべてプロセスの上に成り立っている。効率的なプロセスを実現するのがITの役割である。プライベートクラウドを成功させるには、プロセスを見直し、最新技術を有効利用したプロセスに進化させることが大事である。

3.技術

人とプロセスがしっかり整えば、技術はあとからついてくる。ITの力で顧客にサービスを提供し、ビジネスを実現しようとすれば、おのずと必要課題が見えてくる。たとえば、以下の質問が考えられる。

– いかに効率的なサービスを提供するか?
– 顧客の自由とデータセンターにおけるセキュリティのバランスは?
– データの変更をいかにトラックするか?
– 顧客の将来のプランにどのように関わるか?
– コストは?

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(COMPUTERWORLDコラムCloudificationより)

インフラ仮想化、5つの理由

仮想インフラを後押しする最大の理由は、お金である。経営者にとって、コスト削減ほど重要なものはない。仮想インフラを導入すべき理由として、以下の5つが挙げられる。

1.サーバーの数を減らす。仮に1つの仮想マシンで12のサーバーをまかなうとして、物理的に12のサーバーが削減される。よって、それらにかかる費用も削減することができる。

2.場所の節約。物理的にサーバーの数が減れば、それらを設置すべき場所も節約される。データセンターを賃貸している場合など、コスト削減は著しい。サーバーの電源やクーラーにかかる光熱費も節約できる。

3.メンテナンスの手間が減る。仮想マシンもメンテナンスが必要ではあるが、サーバー数の削減にともない、そのぶん、メンテナンスが不要になるうえ、リスタートにかかる時間も激減する。

4.人件費の削減。たとえサポートすべきシステムの数は変らないとしても、それらが1つの仮想マシンに集約されれば、物理的にサポートすべきシステムは実質1台である。

5.システム管理の簡易化。例えば、実際のサーバーは稼動中にハードディスクを増設することはできない。しかし、仮想インフラなら、それが可能であるし、短時間でできる。データーセンターに出向いて作業する必要もない。

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ZDNetコラム Virtually Speaking より

『半導体購入企業ランキング2011』

今年のシリコンバレーの冬は雨が少ない。 
10年くらい前にも同様の冬があり、春から夏にかけて水不足、電力不足となり計画停電が
実施されたことを思い出す。 
そんなシリコンバレーでガートナー社(Gartner)の半導体の購入企業ランキングが発表
された。
3位HP, 2位SamSung, そして1位はApple.
同社の2011年度、半導体購入金額は$17,257 Millionで昨年比35%増。 
ランキングTOP10の中でも最大の伸び率で1位を獲得した。  
昨年度のランキングトップのHPが3位に転落し、3位のAppleが1位に入れ替わった形。   
まさにPCからスマホを含む携帯機器への市場の逆転現象を反映しているかのようだ。 
それにしても、半導体が使われたであろう、主力商品のiPhone, iPadの出荷台数の伸びは
著しい。 スマホマーケットではiPhone VS アンドロイドという図式でいつも対比されるが
複数のメーカーが参入してハードを作成しているアンドロイドOS陣営と違い、Appleは
iPhoneの一機種のみでマーケットシェアの2番手を維持していると考えれば、いかに
このハードウエアが世間に出荷されているのかがわかる。
  
最新機種のiPhone4Sでは日本の半導体各社のメモリ、液晶ディスプレイ、CMOSセンサー、
Wifiモジュールなどが使われ、全体の構成部品の中でも日本製の比率は高い。 
2位のポジションを保ったSamSungもスマホマーケットやタブレットでは、Galaxy端末など
がマーケットに受け入れられて出荷台数の増加を生み出した。
同じスマホマーケットに参入しているにもかかわらず、製品にヒットがなかった
Nokia ( 前年度比-20%), LG (同比 -1.4%)はそれぞれランキングで4位から5位、
8位から9位とポジションを落とした。 

PC事業への依存比率が高いHPは前年度比-5.5%でランキング3位に後退しているが
注目すべきはランキング8位のLenovoである。昨年度10位からの躍進で、伸び率は
前年度比23.7%もある。 HPと同じ世界での出荷台数が減少しているPC市場を主戦場
としているにも関らずの結果である。これは、SSDメモリの積極採用が半導体消費
に大きく関っており、それが市場に受け入れられたことに他ならない。 
事実、Appleでも製品別にみると、iPhone, iPad以外にSSDメモリ搭載機種MacBookAir
の出荷台数も大きく伸びており、Appleの半導体購入ランキングNo1には貢献している。  
巨額投資により支えられてきた半導体製造業だが、なかでも投資が必要でNo1しか
生き残れない製品の典型がメモリだ。そのメモリが今後も半導体の世界では鍵をにぎる。 

『2011年二つのIPO』

2011年度はアメリカ全体では景気後退と言われることが多い年であったが、シリコンバレー
では新しいビジネスモデルをもとに、起業、躍進する会社があった。
その中でも2社のIPOのその後が年末年始の噂に度々あがった。

一つ目の会社はソーシャルゲームの会社Zyngaだ。
少し前までは日本ではあまり馴染みがない会社であったが、2010年8月にSNSのMixi内で
ヒットしたゲームを扱っているウノウ株式会社の買収で名前を聞いた方も多いのでは
ないだろうか。
USではFacebookのランキングでは常に上位にあがるソーシャルゲームを提供し続けている
ことで有名だ。
2011年度は他ゲーム会社の買収(ポーカーゲームのMarketZero)やLady Gagaをゲーム
で起用するなど話題も多かったが、2011年後半には、9月の四半期発表で前年同期比で
利益の大きな減少やユーザー数の減少というネガティブな報道もあった。

そんな中で12月15日に新規株式公開(IPO)の公募価格を決定した。
公募価格が$10で設定されたが、この公募価格がどれくらいまであがるのかでニュースを
賑わした公開であった。ITネット関連の企業としては、2004年のGoogle以降に最大規模で、
公募価格に基づく時価総額は$70億となる。
ところが、公開してみると最初は$11で取引開始したもののじりじりと価格が下がり、初日の
クロージングでは公開価格割れの$9.5で取引終了となった。
その後もじわじわ下がって、現在の株価(2012年度初め)でも、$8程度で推移している。
2011年の後半に発表された、前年同期比の売り上げ減少やSocial Gameというカテゴリー
で安定して売り上げを伸ばすことがいかに難しいか、またそれを市場に納得させることが
困難かを反映した株価推移になっていると言わざるを得ない。

そして二つ目の企業はGrouponだ。
設立からわずか3年目の企業にも関らず、昨年の派手な宣伝などもあり、こちらは日本でも
有名な企業のひとつであろう。
広告モデル以外になかなか安定した収益を稼ぎだすビジネスモデルが見つからないネット
業界において、ディスカウントクーポンの販売で急激に売り上げを伸ばし続けている
Groupon。
昨年から消費者がPCからモバイルへと大きく移行しているなかで、消費者の位置情報を
もとに、特化したサービスが提供できるGroupon Nowというサービスも市場では多いに期待
されていた。
そんな背景もあり、昨年の10月にIPOの公開規模を縮小するニュースには、がっかりした
投資家もいただろう。結局、株式発行総数の5%程度の3500万株を11月4日に公開した。
取引価格は$20と公開予想価格の$16-$18を上回って取引開始。 その後$27の最高値を
記録したものの、現在の株価は$18とIPO価格を下回ってしまった。  
株価低迷の理由の一つに、Grouponに出店した企業側のリピート率の調査結果も反映して
しまったのかも知れない。Grouponを利用した顧客は非常に大きなディスカウントで商品が
買える反面、商品を購入する必要性が低かった顧客も多いことが判明している。
その結果、Grouponのサービスからは固定客を作ることが難しく、出店した企業側の
メリットが低いというのである。

ともに、株式市場全体が低迷している中をネット企業、SNSゲーム企業として短期間で
売り上げを伸ばしていた企業のIPOにより、米国景気回復の起爆剤的な期待を背負っての
上場だっただけに、現在の株価水準からみると、少し残念な結果となっている。
もう一つの見方として、ネット系ビジネスは短期に爆発的に成長する可能性があるものの、
そのビジネスモデルを長期的に維持することの難しさを露呈してしまったと言えるかも
知れない。
急激に変化する消費者思考、ビジネスモデルの波に乗れば、一気に大きな潮流を作ることが
できるが、消費者が離れていく、引き潮も早いのかもしれない。

結論を出す前に、2012年度にはGoogleの最大のライバルFacebookのIPOが控えている。
どういう結果になるのか、今から楽しみだ。

『Steve Jobs』

きっと近い将来には、と思っていたけど、悲報は突然10月5日の夜にやってきた。
Apple社からの発表でSteveJobs氏が死去したとのテロップがニュースで流れた。
数分後にはシリコンバレーの知人達が次々にJobs関連の情報をTwitterでつぶやき始め、
1時間しないうちに、インターネット上でも大きなニュースになっていた。   
夜9時過ぎには、CupertinoにあるApple本社に追悼の意をもったAppleファン、
Jobsファンが集まり、ロウソクをともしたり、献花などが自然に始まったそうだ。

翌日の昼に、Jobsが好きだった寿司屋を訪ねてみた。 
大将とは15年くらい前からの付き合いで、昔の店に通っていた頃に初めてSteveの話を
聞いた。 
人気でいつも行列ができている店に、SteveJobsはLarry Ellison(オラクルCEO)に
連れられて初めてきたそうだ。 行列にも普通の人と一緒に並んで待っていたそうだ。   
最初はベジタリアンだったSteveだそうだが、Larryと寿司屋に通ううちに少しづつ寿司も
食べるようになり、すっかり大将のファンになっていったようだ。 
しかしながら、強い個性はレストランでも相変わらずで、お勧めの魚でどんなに美味しいと
勧めても、一切手をつけなかったり、Steveのために時間をかけて準備した特別な一品を
口にしても、何かが気に入らないのかサンキューと言葉にすることは少なかったようだ。  
そんなこともあり、最初は大将は気難しい客の一人だと思っていたようだが、それが新しい
店にSteveが通うようになってからは変わっていったそうだ。 

会社が潰れるのではないかと噂された頃にAppleに復帰して、iPod, iTune, そしてiPhoneと
世間を変えるヒット商品を次々に発表してきたSteveをずっとカウンター越しに見て会話を
するうちに大将もSteveのことが好きになっていったそうだ。
あるときは一人でひょっこり来たり、会社の幹部を同伴できたり、はたまた貸切で会社の
パーティにお店を使うようになったり。 
ある日、Steveからいつものように貸切の依頼があったので、どうするのかと思っていたら、
Steveと緊張した面持ちの幹部が現れてアルミケースを持ち込み、そこにSteveともう一人
の幹部がそれぞれの鍵をつかってケースを開けたら、なかからプロトタイプのiPhoneが
でてきた、という現場もこの寿司屋だったそうだ。 

2005年のStanfrod大学の卒業式のStay Hungy, Stay Foolishの名言を残したスピーチは
あまりにも有名だが、その中でも告白された膵臓癌をきっかけに、大将はSteveの今まで
見たことのなかった家族や他の人への愛情の配慮をみるようになったという。   
大将にも、カウンター越しによりいろんなことを語るようになったそうだ。 
また、大将がレストラン経営の難しさをぼやいたところ、大きさは違っても経営の苦労は
どこも同じで、自分もいつも悩んでいると答えてくれたそうだ。 

そんなSteveを大将が最後にみたのは、亡くなるちょうど一月くらい前の9月だったそうだ。
車椅子にて来店、久しぶりの見た目は以前よりも痩せてはいたが、眼光するどく自分の
好きなものを注文し、ゆっくり味わって食べていたそうだ。
異端児と言われたこともあるが、シリコンバレーのギーク達のあこがれ、スタートアップを
夢見る起業家の目標、まだ56歳で惜しまれてこの世を去る偉人に合掌。