新着記事

クラウドに費やす資源/そこから生まれる資源

クラウドを語るとき、まずセキュリティ、サービス内容、ストレージ・スペースや費用のことを考えがちである。クラウドが必要とする「資源」についてまでは考えの及ばぬことが多い。

たとえば、クラウドはどのぐらいの電気代を必要とするのだろう。これを測定するのは不可能に近い。クラウドは所有者の異なる無数のデータセンターを使用しており、データセンターの所在地や、クラウドの構成そのものさえ、あえて公表はされないのだから。

推定では、中規模の町全体に供給するに足る電力が使われていると言われる。

そして忘れてならないのは、データセンターは常にフル稼動状態でなければならないという点である。需要に応じて稼動を休止できれば良いのだが、それでは、セキュリティと機動性に悪影響が出てしまう。

それでも、クラウドの有益は声高に叫ばれており、決して一過性のものとは考えられていない。より多くの人が、より多くのアプリケーションに、格段にアクセスしやすくなったことを思えば、そこから新しいものが生まれる可能性(たとえば、医学的な新発見の可能性など)が大きく広がったと言える。

———————————————————————
(CloudTweaksコラムCan We Afford The Resources We Spend On The Cloud?より)

類似サービスが氾濫するクラウド

クラウド・コンピューティングのカンファレンスに次から次へと参加して気付くのは、同じ技術パターンを繰り返し繰り返し聞かされることだ。

これはある意味やむを得ない。急成長市場には、同じ物を引っさげて参入する企業が次々と現れるのが当然であるし、その「同じサービス」こそが急成長なのであって、無理に差別化すると、それはもはや急成長の主流からずれたものになってしまう。
しかし、そこに欠如してくるのは、革新性と創造性である。
クラウド・スペースにはまだまだ改善の余地が多く、新しいアプローチが待ち望まれている。
そもそもクラウド・コンピューティングは、その性質上、既成概念を捨てて、いかにコンピュータを利用していくか、斬新なアプローチを生み出すチャンスの場である。
今日のクラウドにも、いくつか革新的なアイデアが見られるが、まだまだ創造性が足りないと感じられる。

——————————————————————–
(InfoWorldコラムCloud computing’s me-too problem: Little boxes all the sameより)

開発途上国のクラウド・コンピューティング

現在、クラウド・サービスは主に先進国で利用されているが、今後クラウドがさらに劇的に普及するとしたら、それは開発途上国になるだろう。
水道のないところだって、すでにスーパーコンピュータを利用しているのだから。

たとえば、ケニアとナイジェリアでひと月に10億件ものアクセスがある中古車広告サイトcheki.co.ke。 うち百万人のユーザーは70ドルほどのスマートフォンでサイトにアクセスしているという。
今後スマートフォンの価格も抑えられると見られ、ユーザーのさらなる増加が見込まれる。
このような会社が、米Amazon Webサービスに価値を見出しており、その理由は先進国と異なり、サーバーが突然の停電でダウンしたりしないインフラの安定性である。

ナイジェリア最大の求人サイトJobbermanや、ケニアの携帯電話会社Safaricomの支払管理部門M-PesaもAmazon Webサービスの顧客である。Amazonはインドやインデネシアなどにも積極的に進出しており、Googleもそれに続いている。

————————————————————-
(The New York Times BitsコラムCloud Computing for the Poorest Countriesより)

経理も乗り気なクラウド・コンピューティング

いまだにクラウドに確信が持てないIT担当者が多い中、財務担当の取締役はすっかりクラウドの未来を信じているようである。Googleが北米・欧州の社員500名以上の企業を対象に、財務担当取締役(CFO)など800人の経理責任者に対して行った調査によると、96%の回答者が「クラウドがビジネスに確かな恩恵をもたらす」と信じている、という。 94%の回答者が「クラウドがビジネスの成功に重要である」と答え、過半数が「クラウドが従来のアプローチよりも優れている」と考えている。

これらの調査対象者は本来、新技術の導入に慎重なはずの人種なのに、ことクラウドに関しては正反対の反応を示している点が興味深い。普段から、よほどソフトウェア、ハードウェアの新規購入費やアップグレード費用に頭を痛めていたに違いない。

つまり、クラウドは、従来の新技術に比べ、財布の紐を握る取締役会の賛同を得やすい傾向にある。技術者にとっては、ありがたい話である。

———————————————————————
(InfoWorldコラムWake Up, IT: Even CFO’s See Value In The Cloudより)

アップル共同創設者、クラウドに警鐘

アップル・コンピュータの創設者のひとりであるスティーブ・ウォズニアック氏が、クラウド・コンピューティングに対する慎重論を展開している。彼が危惧しているのは、クラウドに移されたデータは誰の所有するところとなるのか、という点である。「クラウドの利用者は、実際には何も所有していない」と述べ、クラウドを利用するということは管理権を放棄するに等しい、と指摘している。

クラウドに預けられた情報は、物理的には、どこかのハードディスクに保存されているはずである。それがどの場所で、どのような設備において保存されているのか、利用者は把握しているだろうか。よその国にあってもおかしくはない。
仮にその地域に大災害があったらどうなるだろう。クラウドに保存されている情報は定期的にバックアップが取られ、別の地域で保存されているのだろうか。

ウォズニアック氏の意見は正鵠を射ている。クラウドに保存された情報には誰がアクセスできるのか、バックアップはどのようにとられているのか、災害復旧計画はどのようになっているのか、今一度、セキュリティの信頼性を検討してみるべきである。

———————————————————
(Online Bits & Bytes コラム Apple Co-Founder’s Warning on Cloud Computing より)

医療分野で注目されるクラウド

ヘルスケア産業は元来ITへの取り組みが遅い。それはコストの問題であったり顧客情報の守秘性が特に高かったり、遵守しなければならない基準や規制に縛られているなど、さまざまな理由が考えられる。さらには、既存のシステムからの切り替えの難しさ、新システムを従来の方式に当てはめる作業やデータ移行に伴うトラブルの恐れなど、クリアしなければならない障害は多い。

しかし、同時にヘルスケア産業ほどITの技術革新が必要とされる分野もない。
この矛盾に答えを提供してくれるのがクラウドコンピューティングである。クラウドを取り入れれば、コストが抑えられ、ヘルスケア・ビジネスのIT革新の足枷となっている諸々の問題がクリアされる。病院や施設間での情報共有も促進される。

現段階では、事務管理業務のIT化に焦点が当てられがちだが、将来的には、医療サービスそのものをクラウドを通じて提供できるような体制も期待される。

—————————————————————–
(CloudTweaksコラムCloud Computing is Playing a Major Rolein Healthcare Servicesより)

業界別クラウド – ヘルス・クラウドの時代到来?

一般的に広く受けいれらるサービス形態でのクラウドコンピューティング(horizontal cloud)が進む中、業界別に縦割りされたクラウドの形式(vertical cloud)がやがて主流になるという予測がある。たとえば、マスメディア、政府関連、医療分野など。

医療分野ではクラウドベースのEHR(医療健康電子記録)ソフトウェアが急成長し、EHR市場は前年比14.2%増の180億ドル規模に達したという報道もある。

世界のSaaS市場が221億ドル規模と言われる中、HERがその大部分を占めているとはにわかに信じがたいが、業界に特化されたクラウドコンピューティングが進んでいることに違いはない。

————————————————————————-
(CloudCommonsコラム Vertical Health Clouds – Has Their Time Come?より)

クラウドの信頼性は増した?

785名の業界関係者・ユーザを対象に行われた調査によると、クラウドコンピューティングのセキュリティやコンプライアンスに対する信頼度は、一年前に比べると大幅に上昇している。クラウドコンピューティングに、そのような信頼を置くのを時期早尚とした回答が昨年は26%もいたのに、今回は12%に減っている。

しかし、このクラウドへの信頼性が、プライベートクラウドに対するものなのか、パブリッククラウドに対するものなのか、両者での違いはないのかなど、具体的な実態は調査結果からは見えてこない。

そのほか、特徴的な調査結果としては以下の点が挙げられる。

– SaaSの利用率が他の形式のソフトウェアと比較して6倍
– クラウドがすべての分野のソフトウェアの形態を変えていくと回答した人が50%以上
– 67%の回答者がすでにSaaSを利用。利用の計画はないとの回答は19%のみ、など
————————————————————————-
(CloudCommonsコラムSurvey Says – We’re More Comfortable with Cloud,Yet Same Worries Persistより)

クラウドなんて当たり前

クラウドコンピューティングの専門家が最近増えてきた。この状況が果たしていつまで続くのか。クラウドが廃れていくという意味ではない。その逆で、クラウドが当たり前になりすぎて、「クラウドの専門家」があまり意味をなさなくなる日が遠くない。

たとえば、インターネットが普及し始めたとき、インターネット・コンサルタントや、インターネット・デザイナーが増え、インターネット・トレードショーもあちこちで開催された。

今日、インターネット・トレードショーなど、どこでもやっていない。それはクラウドだったり、eコマースだったり、ソーシャル・ネットワーキングだったりと、細分化されている。

それと同じで、二年前、クラウドとはいったい何?と首をひねっていた人々が気がついたときにはすでにクラウドを利用している。このまま行くと、クラウドが日常、当たり前のように利用されるようになり、「クラウドの専門家」は一レベル進化しなければ、ビジネスが成り立たなくなる。

—————————————————————–
(CloudCommonsコラムThe Ubiquity of Cloud Part Iより)

データの身元再確認 – パブリック・クラウドのリスク

パブリッククラウドの企業データに対するリスクについてはいろいろと語られている。そもそもプロバイダのスタッフを信用してよいのか?誰がどのデータにアクセスしたのか確認は可能か?などなど。しかし、つい見落とされがちなのは、データの保存期間についてである。プロバイダとの契約が終了した後、データはどう破棄あるいは識別不可にされるのか。

データが一括処理され識別が不可能な状態にされた後でも、実はデータの身元再確認を可能にするツールが出まわっている。これはデータの性質によっては、企業にとっても重大なリスクになりかねない。

クラウドプロバイダとの契約は、契約終了後のデータ処分、さらに、その後に起こりうる責任問題についても、あらかじめ考慮しておく必要がある。

—————————————————————————–
(CloudCommonsコラムData Re-Identification- A real risk to businessesより)