
ハイパーコンバージド インフラストラクチャ(HCI)が普及しはじめてから、早や10年以上がたちます。この10年、IT環境は激動の時代を迎えたと言っても過言ではないと思いますが、それでもなお、HCIは企業のIT環境をもっともシンプルかつ効率よく管理する最善策の一つとして幅広く利用され続けています。HCIの市場規模は2025年に120億ドルと見積もられていましたが、2032年までに600億ドルを超えるという分析すらあります。市場の競争原理がうまく機能しているのも、その一因と言えます。ざっと挙げただけでも、Nutanix、VMware(Broadcom)、Dell、HPE、Microsoftなどが、各種ハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスを組み合わせ、さまざまなHCIオプションを市場に提供し続けています。
これらの大手ベンダーに加え、StarWindのような中小ベンダーは、中小規模のIT環境向けにコスト効率の高い、より軽量のサービスを提供し、エンタープライズレベルの機能をエンタープライズレベルではない料金で確保したい企業にとって重要なオプションとなっています。
このようにHCIオプションの多様化は、ユーザーにとっては便利な反面、選択に戸惑ってしまう面もあるようです。本稿では、HCIソリューションを選択する際に考慮すべき3つのポイント、1) サポート、2) 管理、3) 料金に焦点を当て、ユーザーの意思決定に役立つ有益なヒントを提供することを目的としています。さらに、この3点に加え、スケーラビリティ、コンパティビリティ、各ベンダーの方向性などについても論じ、より中長期的な視野で最適なソリューションを見つけられるよう、解説していきたいと思います。
1. サポート
サポートは、インフラストラクチャ プラットフォームのライフラインのようなものです。クラスタに問題が生じたとき、ダウンタイムが数時間におよぶか、迅速なリカバリが可能かの違いは、ベンダーサポートの質とレベルに拠るところが大きいです。
ベンダーの多くはサポートをレベル分けして、契約レベルに応じたサービスを提供しています。たとえば、以下のようなサポートレベルが設定されます。
| サポートレベル | 対応時間 | サービスレベルアグリーメント(SLA)の対応規定 |
| スタンダード | 平日のみ8時間 | 4時間以内 |
| プレミアム | 年中無休24時間 | 1時間以内 |
| ミッションクリティカル | 年中無休24時間+プロアクティブ モニタリング | 30分以内(自動アラートあり) |
最近では、リアクティブな(リクエスト対応の)サポートにとどまらず、テレメトリーベースのモニタリングで自動的にサポートチケットを発行し、依頼しなくても必要な措置を講じてくれるサービスが増えています。たとえば、予測分析を使用してスタック全体の問題検出を行うHPE InfoSightや、Dell CloudIQやNutanix Pulseなどの異常性検出レポートがあります。StarWind ProActive Supportもアラートやレポートサービスが充実しており、クライムを通じて日本語でサポートが受けられます。
2. 管理
HCIの最大の長所は、管理のしやすさです。VM、ストレージ、クラスタの健全性を、他のツールーを併用しなくても、単一のコンソールからすべて管理できることが重要なポイントとなります。上記で挙げたような主要プラットフォームには、それぞれ以下の特徴があります。
● Nutanix Prism ― ワークロード、ストレージ、アナリティクスの詳細を表示する統合ダッシュボードが特長。
● VMware vSAN ― 多くのシステム管理者が使い慣れたvCenterを活用。ただし、ネットワーキング(NSX)や高度な自動化にはプラグインが必要な場合あり。
● HPE SimpliVity ― プラグインでvCenterと統合。
● Azure Stack HCI ― Windows Admin Centerをローカルで使用でき、ハイブリッド環境ではAzure Arcも使用可能。
● StarWind Virtual HCIアプライアンス ― コンピューティングとストレージの管理を軽量ウェブインターフェースで統合。特に中小規模の企業向けにオーバーヘッドを最小化。
プラットフォーム管理の利便性は、実際に使ってみて確認するのがいちばんです。VMを起動し、ストレージを拡充し、ノードを追加し、クラスタの健全性をチェックしてみましょう。これらの作業に複数のツールやコマンドラインでの裏技を駆使する必要がある場合、そのHCIは「シンプルな管理」を謳う資格はありません。
また、自動化のサポートも要チェックです。大規模環境では、各種APIやTerraform、Kubernetesとの統合によって相当な時間を節約できます。管理レイヤーが強靭な環境では、人的エラーをなくすと同時に、スタッフの時間と労力も節約し、業務の効率性を飛躍的に向上させます。
3. 料金
HCIは、どのようなソフトウェアとハードウェアがパッケージに含まれているかによって料金も大きく異なります。
●Dell VxRailなど、アプライアンスを利用する場合は、すべてのコンポーネントを事前構築済みのシステムにバンドルしているので、その統合とサポートに料金を支払うことになります。同レベルのコモディティ ハードウェアと仕様を比較すれば、その料金を払う価値があるかどうか、判断がつきやすくなるでしょう。
●NutanixやVMware vSANなど、ソフトウェアのみで提供される場合は、自前のサーバーでHCIを稼働できるのでハードウェアの費用を節約できますが、それは既存のハードウェアがサポートされることが前提条件となります。
● StarWindは、ソフトウェアベースのHCIをコモディティ ハードウェアで運用できるので、さらなる節約が期待できます。つまり、ベンダー提供のアプライアンスよりも初期投資を抑えながらも、エンタープライズレベルの機能を活用できる利点があります。
ライセンス費用に関しては、いずれのベンダーでもサブスクリプションベースに統一される傾向にあります。
● Azure Stack HCIではCPUコア単位で課金されます(例:毎月コアごとに$10)。
● NutanixとVMware vSANでは、ノードまたはコア単位の課金で、機能別のティアが設けられています。
● StarWindでは、重要な機能がすべて一律料金モデルに含まれ、よりシンプルな料金体系になっています。大手ベンダーにありがちな、アドオンごとに少しずつ追加料金が発生するようなことがありません。
最後にTCO(Total cost of ownership:総所有コスト)も考慮する必要があります。ライセンス更新料、サポート費用、ハードウェアの更新費用、バックアップ/DR費用、人件費などです。管理のしやすいプラットフォームは請求書のサブスクリプション料金が高く見えても、トータルでは節約になることが少なくありません。
また、Scale ComputingやStarWindなどの小規模ベンダーでは、重要な機能がコンパクトにまとめられているので、中小規模のユーザーに優れたコスト効率をもたらすことが期待できます。
その他の特性
HCIソリューションを選択する際は、スケーラビリティ、コンパティビリティ、そしてベンダーの将来的な方向性も考慮すべきです。
● スケーラビリティ ― サービスを停止することなくノード単位で拡張できるか、ストレージのみのノードや混合ノードがサポートされるか、などの点を検討する必要があります。クラスタサイズの限度も必ず確認しましょう。たとえば、StarWindは、少しずつスケールアップできる柔軟性で定評があります。
● コンパティビリティ ― どのハイパーバイザー、OS、クラウドがサポートされているのか、Kubernetesとの統合は可能か、などの点を確認する必要があります。既存のサーバーを再利用する際は、事前に互換性を確認するのが必須です。たとえば、StarWindでは、VMwareとHyper-Vが両方ともサポートされ、両者を組み合わせた設定も可能です。
● ベンダーの方向性 ― プラットフォームへの投資が継続されているかどうかを確認するのを忘れてはなりません。BroadcomはVMwareのあり方を良くも悪くも大きく変えつつあります。Nutanixはマルチクラウドに、HPEは分散型のHCIに、より力を注いでいるようです。StarWindは、複雑な多機能性よりも、中小規模ユーザー向けの実用性向上に力を入れています。
まとめ
HCIプラットフォームの選択は、マーケティング面などの周辺的要素を取り除けば、判断材料は以下の問いに絞られます。
1. ベンダーサポートの充実度は?
2. 管理インターフェースの使いやすさは?
3. この先3~5年でかかる費用は?
4. 業務の拡大に応じてスケーリング可能か?
5. 既存の環境と統合可能か?
これらの問いへの答えを見つければ、最適なHCIベンダーがおのずと浮かび上がってくるはずです。HCI市場は競合が激しく多種多様ですが、基本的な要件は普遍的で、求められるのは、迅速なサポートと簡単で効率的な管理、ニーズに合った価格と拡張性です。Nutanix、VMware、Dell、HPE、Microsoftといった大手ベンダーで幅広いエコシステムを利用する選択肢もありますが、StarWindなど、よりコンパクトで柔軟なシステムでコスト効率を高めるのも、中小規模の企業には有力なオプションとなります。

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