AIの普及とともに、BIダッシュボードの役割が変わりつつあります。手持ちのデータからインサイトを引き出すのが、これまでのBIの役割でした。それがAIの力により、状況を分析し、将来の傾向を予測し、リアルタイムで最新データを活用できるようになっています。
AIがBIにとって代わり、企業におけるBIの利用価値が下がると予想する向きもありましたが、実際にはAIのおかげでBIの利用価値はますます高まっています。
AIで強化されたBIの、これまでのBIとの最大の違いは、意思決定をReactiveからProactiveに変換できる点です。過去のデータからの分析結果にReact(反応)して、より良い意思決定を行えるようにするのが、従来のBIの目標でした。これはこれで、とても有意義なのですが、AIを活用すれば、最新トレンドも把握して、潜在的なチャンスやリスクにも予測的に対策を立てて積極的(プロアクティブ)に対応することができます。
たとえば、AIを活用したBIでは、以下のことが可能になります。
- ビジネスのトレンドを過去データとリアルタイムデータの両方にもとづいて予測分析。
- 予測モデルを使用した仮定、状況に応じたシミュレーション。
- 実践的なインサイトを自動的に引き出して、意思決定のスピードを高速化。
機械学習(ML)アルゴリズムが常に新しいデータ入力から継続的に学習し続け、人がプログラミングを加えなくても予測分析を日々先鋭化することができます。つまり、企業は日常的にビジネスを遂行しながら、BIツールの予測分析能力を自動的に高めていくことができます。
具体的には、MLモデルは自動的に顧客動向を分類したり、セキュリティ上の不正パターンを検知したり、需要予測に合わせて在庫調整を推奨したりすることができます。
さらに、AIの自然言語処理(NLP)モデルはユーザーによるデータの処理を単純化できます。複雑なクエリを作成する代わりに、AIエージェントに「今四半期の業績がトップの部門はどこですか?」などの質問(プロンプト)を投じれば、実際のデータにもとづく回答をただちに得ることができます。
つまり、BIダッシュボードは、そのコンテンツ(データから引き出して提示するインサイト)と、作成方法(AIエージェントによる自動編集)の両面でAIを活用した利便性が増し、ビジネス価値がさらに向上しています。
過去データの分析からリアルタイム分析へ
朝令暮改のトランプ関税を例にとるまでもなく、昨今のビジネス環境はかつてない激しい変化に晒されています。このため、企業の意思決定も、これまで以上の迅速さが求められています。
BIダッシュボード作成のためのデータは、もはや人が準備している時間はなく、AIによるリアルタイム処理が必須になりつつあるのではないでしょうか。
AIは、財務管理システムやCRMプラットフォーム、IoTデバイスなどからの新しいデータストリームをリアルタイムで処理し、分析することができ、データを準備する人間の手間を省略してくれることはもちろん、何よりも情勢変化への対応を速めてくれます。
AIを活用したBIダッシュボードにより、ビジネスの意思決定者は、業績や顧客動向、市場のダイナミクスを迅速に把握でき、たとえば、以下の即時アクションが可能になります。
- 経営上の重大な変化に、発生後ただちに対応
- 経営戦略のダイナミックな調整
- カスタマーエクスペリエンスの迅速なパーソナライゼーション
- セキュリティリスクや経営上のリスクは、芽が出ると同時に摘む
- 新しい機会は、競合他社より先に掌握
端的に言うと、BIダッシュボードにAIを組み込むことによって、ビジネスのアジリティ(機動性)が高まります。
AI+BIがもたらすコスト効率
AIを活用したBIは、ビジネスのアジリティと同時に、コスト効率も高めます。
BIのためのデータの準備、レポート編集、分析作業がAIアルゴリズムによって自動化されることにより、データ処理に追われていたスタッフは、より戦略的なプランニングとイノベーションに注力でき、企業の生産性向上が期待できます。
BIシステムが、マーケティングキャンペーンの効果を自動分析して予算配分の最適化を提案したり、経営戦略の意思決定を支援するだけでなく、新しい戦略がどのような効果をもたらすのかを予測して意思決定の適格性を高めてくれるので、費用対効果があらゆる側面から強化されます。
AIを活用したBIシステムを構築するには
AIをBIシステムに統合するには、まず、安定したデータ インフラストラクチャを確立することが重要になります。AIモデルはデータの整合性と完全性に左右されるので、企業は確固たるデータ基盤を築くことが何より重要になります。
ただし、これはBIシステムに限った話ではなく、AI利用全般に言えることです。多くの企業はすでにデータ インフラストラクチャを整えているか、その方向に進んでいるはずです。このようなデータインフラをBIダッシュボードにも利用しない手はありません。
さらに、AI+BIの効果を最大限に高めるためには、正しいBIツールを選択することが重要なのは言うまでもありません。企業のニーズに応じて拡張でき、AI機能の統合に対応でき、技術スタッフでなくても柔軟にカスタマイズできるデザイン性に優れたツールが必要になります。
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