両者はどちらもバックアップ市場のリーダー的な存在ですが、「生い立ち」と「得意分野」が明確に異なります。 一言で言うと、「物理環境・テープ重視なら Backup Exec」、「仮想環境・スピード重視なら Veeam」 というのが今までの一般的な住み分けです。
次に、選定のポイントとなる主な違いを整理します。
1.比較サマリー表
| 機能・特徴 | Veritas Backup Exec (BE) | Veeam Backup & Replication |
| 得意な環境 | 物理サーバー、ハイブリッド環境 | 仮想環境 (VMware/Hyper-V/Nutanix) |
| 生い立ち | 物理サーバー向けバックアップの老舗 | 仮想化専用バックアップとして誕生 |
| テープ装置 | 非常に強い (LTOなどの管理が得意) | 対応しているが、BEほど多機能ではない |
| 操作性 (UI) | 従来型の詳細設定型 (やや複雑) | モダンで直感的 (シンプル) |
| 復旧速度 | 標準的 (インスタントリカバリも対応) | 高速 (Instant VM Recoveryが強力) |
| ライセンス | 容量課金、またはエージェント/ソケット単位 | VUL (ユニバーサルライセンス) / サブスクリプション |
| クラウド連携 | 対応 (AWS/Azure/Google等) | 非常に強い (S3/Blobへの直接転送・不変性等) |
2.それぞれの強みと弱み
物理サーバー時代からの長い歴史があり、「Windowsサーバーのバックアップといえばこれ」と言われるほどの定番ソフトでした。
Veritas Backup Exec
物理サーバー時代からの長い歴史があり、「Windowsサーバーのバックアップといえばこれ」と言われるほどの定番ソフトでした。
強み:
- 物理環境とテープ運用の統合: 物理サーバーが多く、かつテープ(LTO等)での長期保管が必須要件である場合、テープドライブの詳細な制御や管理機能においてVeeamより一日の長があります。
- きめ細かい設定: 除外設定やスケジュールなど、非常に細かい粒度で設定が可能です。
- GRT (Granular Recovery Technology): Active DirectoryやExchangeなどのアプリケーションアイテム単位の復旧技術に定評があります(Veeamも現在は同等の機能を持っています)。
弱み:
- 管理コンソールの重さ: UIがやや古く、設定項目が多岐にわたるため、初心者には学習コストが高い傾向があります。
- 仮想化への対応: もちろん対応していますが、後付けで機能拡張してきた経緯があるため、Veeamほどの軽快さがないと感じる場合があります。
Veeam Backup & Replication
当初は「仮想環境のため」に設計されたソフトウェアです。エージェントレス(仮想マシンにソフトを入れない)でのバックアップをいち早く広めました。
強み:
- 圧倒的な使いやすさ: “It just works”(設定すれば動く)という評判通り、UIがシンプルで直感的です。
- Instant VM Recovery: バックアップファイルから直接仮想マシンを起動する技術が非常に強力で、数TBのサーバーでも数分で起動(RTO短縮)できます。
- エージェントレス: 仮想環境であれば、個々のサーバーにソフトをインストールする手間がありません。
- 物理・クラウドへの拡張: 現在は物理サーバー(Agent使用)やクラウド(AWS/Azure)への対応も非常に強化されています。
弱み:
- テープ運用の柔軟性: テープへの書き込みは可能ですが、複雑なライブラリ管理や運用ルールに関しては、Backup Execの方が柔軟な場合があります。
- 物理サーバー管理: 物理サーバーには個別に「Veeam Agent」を入れる必要があり、純粋な物理環境のみの場合、管理の手間はBackup Execと変わりません。
3.ライセンス体系の違い
Backup Exec:
- 以前は「エディション(Bronze/Silver/Gold)」と「容量(TB単価)」または「ソケット数」の組み合わせが主流でした。
- 物理サーバーが多い環境では、従来通りのライセンス体系がコストメリットを出すこともあります。
Veeam Backup & Replication
- VUL (Veeam Universal License): ワークロード(VM、物理サーバー、クラウドインスタンス)を「1単位」としてカウントするサブスクリプション方式が主流です。
- 環境が変わっても(物理から仮想へ移行しても)、ライセンスをそのまま移行できるポータビリティが魅力です。
結論:どちらを選ぶべきか?
Backup Exec が選ばれるケース:
- 物理サーバーがメインの環境である。
- テープバックアップの運用フローが確立されており、複雑なテープ管理が必要。
- 既に長年 Backup Exec を使用しており、運用を変えたくない。
Veeam を選ぶべきケース:
- 仮想化環境 (VMware/Hyper-V/Nutanix) がメインである。
- 復旧スピード (RTO) を最優先したい。
- 将来的にクラウドへの移行やハイブリッドクラウド運用を考えている。
- 管理の手間を減らし、シンプルな運用に切り替えたい。
現在のご利用環境(物理サーバーの台数、仮想マシンの台数、テープの有無など)により、コスト的・運用的の有利性が変わってきます。
Veritas Backup Execは現在は:
Veritas Backup Exec は、2026年1月現在、非常に大きな転換期を迎えています。
端的に言うと、「Veritas という会社は分割され、Backup Exec は『Arctera (アークテラ)』という新会社に移管」されました。
以前のように「VeritasのBackup Exec」ではなくなっている(またはその過渡期にある)というのが現在の正確な状況です。
以下に最新状況をまとめます。
1. 会社が変わった (Veritasの分割とArcteraの誕生)
2024年末から2025年にかけて、Veritas Technologies は2つの事業に分割・再編されました。
- NetBackup (エンタープライズ向け事業):
- 競合であった Cohesity (コヒシティ) と統合されました。
- 大企業向けの製品群はこちらに吸収されています。
- Backup Exec と InfoScale (その他の事業):
- 「Arctera (アークテラ)」 という新しい独立した会社としてスピンオフ(分離)しました。
- 現在、Backup Exec の開発・サポートはこの新会社 Arctera が行っています。
ユーザーへの影響: 今のところ製品名やサポート体制は維持されていますが、Webサイトや契約先、ブランドロゴなどが順次「Veritas」から「Arctera」へ切り替わっている段階です。今後の製品計画などは未定の様です。


RSSフィードを取得する


