StarWind VSANとHPE VM Essentials (VME)を組み合わせて活用する方法について

StarWind VSANHPE VM Essentials (VME)を組み合わせて活用することは、VMware vSphereからの移行を検討している企業や、コスト効率の高い高可用性(HA)基盤を求めている組織にとって、非常に強力な選択肢となります。

イメージ図

HPE VM Essentialsは、KVMベースのハイパーバイザー(HVM)と管理ツールを統合した新しいソリューションですが、標準では分散共有ストレージ機能に制約がある場合が多いため、StarWind VSANがその「共有ストレージ層」を補完する役割を果たします。

具体的な活用方法とメリットを以下に紹介します。

1. 2ノードでの最小構成ハイパーコンバージド(HCI)の実現

HPE VM Essentialsの標準的なHCI構成は通常3ノード以上(Ceph等を利用)を推奨しますが、StarWind VSANを組み合わせることで、物理サーバー2台のみで冗長化された共有ストレージ基盤を構築できます。

  • 活用シーン: 拠点の小規模サーバー、コストを抑えたい部門サーバー。
  • 仕組み: 各サーバーのローカルディスクをStarWindがリアルタイム同期し、iSCSI経由でHPE VMEホストに共有ストレージとして提供します。
  • メリット: スイッチを介さない直接接続(Direct Connect)も可能なため、高価な10GbE/25GbEスイッチへの投資を抑えつつ、高い可用性を確保できます。

2. VMwareからのスムーズな移行基盤として

HPE VM EssentialsはvSphere環境の管理や移行をサポートしていますが、ストレージの移行が課題になることがあります。

  • 活用方法:StarWind V2V Converter等の返還ツールを使用します。
    • 既存のVMware VMを、HPE VMEがサポートする形式(QCOW2など)へ変換し、StarWind VSAN上の共有領域へ配置します。
  • メリット: 共有ストレージ層にStarWindを置くことで、VMware環境とHPE VME環境の両方から同じストレージを参照させる構成が可能になり、段階的な移行が容易になります。

3. 3-Tier構成(外部ストレージ代替)としての利用

HPE VM Essentialsを「サーバー+外部ストレージ」の3-Tier構成で利用する場合、高価な物理SANストレージの代わりにStarWindをインストールした汎用サーバーをストレージノードとして活用できます。

  • 活用方法: HPE ProLiantサーバーにStarWind VSANをインストールし、iSCSIターゲットとしてHPE VM Essentialsクラスターにマウントします。
  • メリット: 専用アプライアンスに縛られないため、NVMe SSDなどの最新デバイスを自由に組み込め、パフォーマンスとコストのバランスを最適化できます。

活用時のポイント(技術的留意点)

項目詳細
接続プロトコルHPE VMEはiSCSIおよびNFSをサポートしています。StarWindはiSCSIターゲットとして安定した実績があります。
管理の統合HPE VM Essentials ManagerからVMの管理を行い、ストレージ側の管理(ディスク追加、同期確認)はStarWindのWebコンソールで行います。
バックアップStarWind VSAN上のデータは、VeeamなどのHPE VME対応バックアップソフトと組み合わせることで、包括的なデータ保護が可能です。

StarWind VSANとHPE VM Essentials(VME)を組み合わせた「最小構成の2ノードHCI(ハイパーコンバージドインフラ)」の詳細な構成例

この構成は、外部ストレージ(SAN/NAS)を必要とせず、2台のサーバーだけで仮想マシンの自動再起動(HA)を可能にする、非常にコストパフォーマンスの高いモデルです。

2ノード・ダイレクトコネクト構成例

高価な10GbEスイッチを介さず、サーバー間を直接LANケーブルで結ぶことで、コストを抑えつつストレージ同期の帯域を確保する構成です。

1. ハードウェア構成例

  • サーバー: HPE ProLiant DL360 または DL325 Gen11 × 2台
  • CPU/RAM: 業務要件に合わせて選定(HPE VMEの最小要件を満たすもの)
  • ストレージ: 各ノードに NVMe SSD または SAS SSD × 数本
  • ネットワーク:
    • Management/VMトラフィック用: 1GbE または 10GbE × 2ポート(既存スイッチへ)
    • ストレージ同期 (Sync) 用: 10GbE または 25GbE × 2ポート(ノード間を直接クロス結線

2. ソフトウェア類

  • ハイパーバイザー: HPE VM Essentials (KVMベースのHVM)
  • ストレージ層: StarWind VSAN for Linux (仮想マシンとして、またはHPE VME上で稼働)
  • 管理ツール: HPE VM Essentials Manager

物理・論理構成のイメージ

動作の仕組み

HAの実現: HPE VMEからは「1つの共有ストレージ」に見えるため、Node 01が故障しても、Node 02が即座に仮想マシンを引き継いで再起動できます。

データのミラーリング: 各ノードのローカルSSDをStarWindが管理し、ノード間の直接接続(Sync用NIC)経由でデータをリアルタイムに同期します。

iSCSIターゲットの提供: StarWindは、同期された領域を「共有iSCSIターゲット」としてHPE VME(自分自身および相手ノード)に公開します。

ネットワーク設計の詳細

用途推奨帯域接続先備考
Management1GbE / 10GbE既存L2スイッチVME Managerからの管理用
VM Traffic10GbE既存L2スイッチ業務通信用(冗長化推奨)
iSCSI / Sync10GbE / 25GbEノード間直結ストレージ同期用。スイッチ不要で低遅延
Heartbeat1GbE既存L2スイッチノードの死活監視用(StarWind用)

導入のメリット

拡張性: 将来的に3ノード、4ノードと増やす際も、StarWindのライセンスを拡張することで対応可能です。

スイッチコストの削減: ストレージ専用の高速スイッチを購入する必要がありません。

高可用性: 片方のサーバーが物理故障しても、データはもう一方に最新状態で存在するため、ダウンタイムを最小限に抑えられます。

注意点

クォーラム (Witness): 2ノード構成の場合、ネットワーク分断(スプリットブレイン)を防ぐため、安価なWindows PCやクラウド上に「Witness(証人)」ノードを1つ置くことが推奨されます。

2ノードHCI構成の完成度をさらに高めるため、「部品選定のヒント」「StarWind Linux版(CVM)の構築ステップ」「HPE VME側の接続ポイント」の3点について

1. 具体的な部品選定(BOM作成のヒント)

HPE ProLiant Gen11をベースにした、パフォーマンスと信頼性のバランスが良い選定例です。

  • サーバー本体:HPE ProLiant DL325 Gen11 (AMD EPYC) または DL360 Gen11 (Intel Xeon)
    • 1Uサイズで省スペースながら、十分なディスクスロットとPCIeスロットを備えています。
  • ストレージ (Disk):HPE Mixed Use (MU) NVMe SSD × 4本以上
    • StarWindの性能を活かすならNVMeが最適です。書き込み耐性の高い「Mixed Use」を選定してください。
  • ネットワークカード (NIC):HPE Ethernet 10/25Gb 2-port SFP28 Adapter
    • StarWindの同期用(Sync)として、ノード間をDACケーブル(ダイレクトアタッチケーブル)で直結します。スイッチ代を浮かせつつ、25Gbpsの超高速同期が可能です。
  • 管理用 (Management):HPE iLO 6
    • リモート管理のために「iLO Advanced」ライセンスを含めておくと、OSインストールからトラブル対応まで遠隔で完結します。

2. StarWind CVM (Linux版) の構築ステップ

StarWindは現在、軽量なLinuxベースの仮想アプライアンス(CVM: Controller VM)としてデプロイするのが主流です。

  1. HPE VME上にCVMをデプロイ:
    • StarWindが提供するOVA(またはQCOW2)イメージをHPE VME上にインポートします。
    • CPU/RAM割り当て: 4 vCPU / 8GB RAM程度(キャッシュ量に応じて調整)。
  2. 物理ディスクのパススルー:
    • サーバーに搭載したSSDを、HPE VME(KVM)を介して直接StarWind CVMに認識させます。
  3. ネットワーク設定:
    • CVMに「Management」「Sync」「iSCSI」の3つの仮想NICを割り当てます。
    • Sync用NICには、ノード間直結ポートをバインドします。
  4. レプリケーション作成:
    • StarWindのWeb管理画面(Port 9054)にアクセスし、Node 01とNode 02間で「2-Way Replication」の設定を行います。これでデータがリアルタイムで同期されます。

3. HPE VME側でiSCSIストレージを認識させる設定

StarWindで作成した仮想ディスク(LUN)を、HPE VM Essentialsの共有ストレージとして登録します。

  • iSCSIイニシエータの設定:
    • HPE VMEホスト(Linuxベース)側で、StarWind CVMのiSCSI IPアドレス(自ノードと相手ノードの両方)をターゲットとして登録します。
  • マルチパス (MPIO) の有効化:
    • StarWindは、自ノードのストレージに優先的にアクセスし、障害時に相手ノードへ切り替える「ALUA」をサポートしています。
    • multipathd を適切に設定し、パスの冗長性を確保します。
  • ストレージドメインの作成:
    • HPE VME Managerから、認識されたiSCSIデバイスを「Shared Storage Domain」として初期化します。
    • これにより、仮想マシンの「ライブマイグレーション」や「高可用性(HA)」が利用可能になります。

既存のVMware環境からHPE VMEへ移行する際の具体的なツール操作など

VMware vSphere(ESXi)から HPE VM Essentials (VME) へ移行する際、最も効率的で推奨される方法は、StarWind V2V Converter(無料ツール)を活用した手法です。

HPE VMEはKVMベースのハイパーバイザー(HVM)を採用しているため、VMwareの仮想ディスク形式(.vmdk)をKVM形式(.qcow2)に変換してインポートする必要があります。

以下に、具体的なツール操作と手順をステップバイステップで解説します。


1. 事前準備

  • StarWind V2V Converterのインストール: Windowsマシン(作業用PCまたは移行元のWindows VM)にインストールします。
  • 移行対象のVMをシャットダウン: データの整合性を保つため、VMware上のVMは停止させておくのが基本です。
  • HPE VME側のストレージ準備: 移行先のHPE VME(StarWind VSAN上の共有ボリュームなど)がマウントされていることを確認します。

2. StarWind V2V Converter を使った変換・移行操作

このツールは、ESXiから直接データを吸い上げ、形式を変換して移行先に送る機能を持っています。

  1. ソースの選択 (Select source):
    • [VMware ESXi Server] を選択し、ESXiホストのIPアドレス、ユーザー名、パスワードを入力します。
    • 移行したい仮想マシン(VM)を選択します。
  2. 変換先形式の選択 (Select destination file format):
    • [QCOW2] (KVM用標準形式) を選択します。これがHPE VMEでネイティブに読み込める形式です。
  3. 変換オプション (Select options):
    • [Sparse image](容量可変)または [Pre-allocated](容量固定)を選択します。通常は効率の良い Sparse を選びます。
  4. 保存先の指定:
    • 直接HPE VMEのストレージに書き込めない場合は、一旦作業用PCやNASなどのネットワークパスに保存します。

3. HPE VM Essentials 側でのインポート操作

変換した .qcow2 ファイルをHPE VMEに認識させます。

  1. ファイルのアップロード:
    • HPE VME ManagerのGUI(またはSCP等のコマンド)を使用して、作成した .qcow2 ファイルをHPE VMEが管理するストレージドメインにアップロードします。
  2. 仮想マシンの作成:
    • HPE VME Managerで「Create VM」を選択。
    • OSの種類やCPU/メモリは、移行前と同じ設定を割り当てます。
  3. ディスクの紐付け:
    • 新規ディスクを作成するのではなく、[Import Existing Disk] または [Attach Disk] を選択し、先ほどアップロードした .qcow2 ファイルを指定します。
  4. ドライバの調整 (重要):
    • VMwareの「VMware Tools」をアンインストールし、KVM用の 「VirtIOドライバ」 をインストールします。
    • Windows VMの場合、初回起動時にネットワークやディスクが認識されないことがあるため、VirtIOのISOイメージをマウントしてドライバを適用します。

4. 移行後の確認ポイント

  • ネットワーク設定: 静的IPアドレスを設定していた場合、NIC(ネットワークアダプタ)が新しく認識されるため、IPの再設定が必要になることがあります。
  • 時刻同期: VMware Toolsの代わりに、OS標準のNTP設定やQEMU Guest Agentが正しく動作しているか確認します。
  • パフォーマンス: ディスクI/Oに問題がないか、StarWind VSANのステータスと合わせて確認します。

まとめ:移行のヒント

  • テスト移行: 本番移行前に、非クリティカルなVMで1台テストを行うことを強くお勧めします。
  • 一括移行: 多数のVMがある場合は、StarWindのコマンドラインツールや、HPEが提供する可能性のある公式移行スクリプト(リリース状況による)を併用すると効率的です。

このプロセスの中で、特に「ドライバの適用(VirtIO)」や「ネットワークの再設定」で躓くことが多いため、そこを重点的に準備しておくとスムーズに進みます。

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