他の記事で紹介しているようにV13はLinuxアプライアンス版のリリースを含む、大規模アップデートになる予定です。
これに伴い、下記開発元フォーラムのスレッドで公開されているようにv13ではいくつかの機能が、非推奨または廃止予定となっているため注意が必要です。
今回はこれらの非推奨となるV13では新規では使用できなくなる機能に関して、確認できる限りBeta2にて設定項目を参照していきます。
※リリース前の検証であり、本記事で紹介している手順や機能、仕様はリリースに伴い変更される可能性があることをご了承ください。
非推奨/廃止となる機能
非推奨なった機能は、V13で 新しく作成されたジョブでは利用できませんが、V12からのアップグレードなどで、元々その機能を使用している既存のジョブでは引き続き使用できます。ただし、その後、V14で完全に削除予定であるため、V13のうちに変更が推奨されます。
Veeam Backup & Replication
- 逆増分(Reversed incremental)バックアップモード。
- リストアポイントの数に基づくバックアップジョブの保持 (時間ベースの保持のみ使用可能)。
- マシンごとではないバックアップチェーン (マシンごとのバックアップチェーンのみ使用可能)。
- Veeam Cloud ConnectテナントのActive Directoryベースの認証。
- WindowsエクスプローラーでVBK/VBMをダブルクリックしたときのリストアオプション。
- シーケンシャルテープ処理オプション (並列処理がデフォルトの動作となり、単一ドライブのみが使用可能な場合がシーケンシャルテープ処理へ自動的にフェイルオーバーします)。
Veeam Agent
- XMLでの構成情報エクスポートとインポート
- リストアポイントの数に基づく保持 (時間ベースの保持のみ使用可能)
- CD/DVDへのリカバリメディア書き込み(ISOの作成自体は可能)
廃止された機能
以下の機能はV13では廃止されるため、使用している場合、V13へのアップグレードがブロックされます。
- バックアップメタデータがV12形式にアップグレードされていないジョブ。
- バックアップコピージョブがレガシーモードのまま。
- V6より前のVeeam Agent for Windowsがフルインストールされている(LocalDB構成データベースを含む)。
- Veeam Cloud Connectポータル >https://helpcenter.veeam.com/docs/backu … ml?ver=120
- ユニバーサルアプリケーションアイテムリカバリ(U-AIR)
要件の変更
システム要件やサポートプラットフォームのV13での変更、ドロップ予定に関してはこちら
Veeam Backup & Replication
逆増分(Reversed incremental)バックアップモード
ジョブのStorageステップ、Advanced Settings>Backupタブで設定できたReversed incrementalがなくなっており、V13では定期的に作成するフルバックアップに関するオプションのみとなっています。


リストアポイントの数に基づくバックアップジョブの保持 (時間ベースの保持のみ使用可能)。
V12まではドロップダウンリストで選択できますが、V13では選択自体が行えなくなる予定です。


古いバージョンからVeeamをご利用いただいている場合、リストアポイントの方がなじみがあるかと思います。しかし、リストアポイント数自体を指定してしまうと、誤操作や悪意のある攻撃などでジョブが繰り返し実行されると、古いリストアポイントは世代管理で削除されてしまい、直近のリストアポイントしか残らないというケースが発生します。これはバックアップ対象がランサムウェアなどに感染しており、暗号化されるなどデータに問題がある状態となっていると特に影響が大きいです。
日数の保持であれば、ジョブが繰り返し実行されても、日数内であれば古いリストアポイント含めて世代管理で削除されることはありません。このようなセキュリティ面での強化も含めた機能廃止となっています。
マシンごとではないバックアップチェーン (マシンごとのバックアップチェーンのみ使用可能)
V12まではリポジトリの設定のRepositoryステップ、Advancedにて、Use per machine backup filesのチェックを外して、マシンごとではない、ジョブごとのバックアップチェーンを作成するように設定できましたが、V13では項目自体がなくなっており、マシンごとのバックアップチェーンが作成されます。


Veeam Cloud ConnectテナントのActive Directoryベースの認証
サービスプロバイダ環境のバックアップリポジトリやレプリケーション先となる仮想環境(vSphere/Hyper-V)をVeeam Cloud Connectという機能を用いて利用できるようにする機能があり、サービスプロバイダ環境を登録する際の認証をADベースで実施する機能が廃止されます。今回のBeata2ではそこまで試すことはできないため、今回は省きます。
WindowsエクスプローラーでVBK/VBMをダブルクリックしたときのリストアオプション
Windowsベースリポジトリ上にあり、そのWindowsにVeeamコンソールがインストールされている場合、vbmまたはvbkファイルをダブルクリックすることで、そのバックアップに含まれる、VMなどのリストアを開始できます。これがv13では廃止予定です。


シーケンシャルテープ処理オプション
一つのテープメディアへシーケンシャルに書き込むのではなく、複数ドライブで複数のテープメディアへ並行して書き込むことで時間を短縮するオプションです。デメリットとしてはテープメディアを使い切らないうちから、他のテープメディアを使用するため、テープメディアの使用量が増える可能性があります。
このオプションがv12では無効化できましたが、v13では強制的に有効化され、テープドライブが一つしか使用できない場合のみシーケンシャルテープ処理オプションへフェイルオーバーするようになります。


テープドライブ自体を無効化し、一つしか使用できないような構成にすることや、ジョブで使用するテープドライブを一つまでに制限するといった設定は可能ですので、シーケンシャルテープ処理オプションへフェイルオーバーさせること自体は簡単です。


Veeam Agent
XMLでの構成情報エクスポートとインポート
下記URLのようにVeeam Agentの構成情報はXMLでエクスポート、インポートができますが、これがV13では非推奨となります。ただ、BETA2で試してみた限り使用はできたのでV14で完全に廃止されるまでは、使えないことはないのかもしれません。
https://helpcenter.veeam.com/docs/agentforwindows/configurator/xml_files.html?ver=60
リストアポイントの数に基づく保持 (時間ベースの保持のみ使用可能)
Agentでのジョブ設定時にもリストアポイントでの保持設定は構成できず、日数での保持のみとなります。

CD/DVDへのリカバリメディア書き込み(ISOの作成自体は可能)
下記のようにV12の際にはリカバリメディアを作成する際に直接、DVDへの書き込みを選択できました。

しかし、V13では下記のようにDVDドライブは表示されなくなります。

まとめ
このように、古くからある機能からマイナーな機能までいくつか機能廃止が想定されており、特に影響の大きいものは逆増分(Reversed incremental)とリストアポイントの数に基づく保持設定かと思います。
V13では新規に構成できなくなるのみで、元々使用していたジョブでは継続して利用できる予定ではありますが、ジョブ構成に差異が生まれることになり、V14では完全廃止でアップグレードの妨げになるものと想定されます。
V13リリース後はアップグレード前にこのような機能をご確認いただけますと幸いです。
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