VeeamON 2025 参加ユーザーの声


Veeam社が主催する年次イベントVeeamONが4 月21日から3日間、米国サンディエゴで開催され、例年になく充実した盛り沢山の内容であったことは、弊社の速報レポートのとおりです。現場の熱気が伝わるレポートなので、まだご覧になっていない方は、ぜひお目通しください。

ここでは、参加ユーザーの生の声を、インタビュー記事から抜粋して、ご紹介します。

備えあれば患いなし

サイバー攻撃から自社システムを守ることは、全世界の全企業に共通する最大の関心事の一つであり、その切迫度は年々高まっています。VeeamON 2025の参加企業も、障害復旧(Disaster Recovery)プランの重要性を口々に強調していました。

これは米大リーグ(MLB)の球団も例外ではなく、大谷翔平選手がかつて所属していたロサンゼルス・エンゼルスのネットワーク インフラストラクチャ ディレクター、ニール・ファリス氏の談話がとても興味深いです。

同氏は、ドラフトシーズンの直前にサーバーの不具合に直面しました。ちょうどスカウトなどから寄せられる分析データが急増した時期だそうです。

「我がエンゼルスでも、データへの依存度がかつてないほど高まっていました」とファリス氏は回想します。

そこで、エンゼルスが利用しているマネージド サービス プロバイダーのDatapriseに急遽連絡を取り、同社が提供するVeeamのバックアップサービスを通じて、わずか10分でレプリカサーバーを構築しました。おかげで、ドラフト開催までにサーバーの完全なレプリカを確保でき、結果的には使わなくて済んだものの、サーバーが間に合ったときには心底ほっとした、と同氏は振り返ります。

MLBのチームを支えるIT部門にとって、シーズン終了後のドラフト前の時期はデータ需要が高く、球団のビジネスにとって特に大事な時期のようです。

これに関しては、Datapriseの事業継続DR担当ディレクター、スティーブ・ニュー氏も、1989年のワールドシリーズ中に起きたサンフランシスコ大地震を例に挙げながら、「災害はいつやってくるかわからない(だから普段からの備えが大事)」とコメントしています。

ちなみに、1989年のワールドシリーズはオークランド・アスレチックスvsサンフランシスコ・ジャイアンツのカードで、第3戦開始前に地震が発生して10日間シリーズが中断されたそうです。

エンゼルスに話を戻すと、同球団は長年VMware Site Recovery Managerを使用していましたが、ファリス氏はさほど満足していなかったようです。Veeamに切り替える前は、エンゼルス・スタジアムのデータセンターの目前に洪水が迫ったりして、冷や汗をかいたことも度々だったと語っています。

現在、VeeamとDatapriseによって保護されているエンゼルスのデータは150 TBに及び、89以上のサーバーにまたがります。

ハッカーは虫のようなもの

エンゼルスの話は無事にリスクを回避できたケースですが、一方、オハイオ州マリーズビルのスクール・ディストリクトのように被害に遭ってしまったケースもあります。

このスクール・ディストリクトは2024年10月に、ランサムウェアBlackSuitの標的になってしまいました。

「近親者の訃報の次に、もっとも嫌な知らせだった」と、技術ディレクターのトム・パワーズ氏は振り返ります。Cisco Duo、ファイアウォール、VMware Carbon Black、Veeamバックアップ、オンプレミスのイミュータブル ストレージを揃え、万全を期していたパワーズ氏は、「一体、何がいけなかったのだろう?」と自問自答し、泣きたくなったそうです。

「ハッカーは虫のようなもの。どこからか家の中に入ってくる。それと同じで、ビジネスをどんなに完全に保護しても、ハッカーはどこからか侵入してくる、いや、すでに侵入しているかもしれない。データを保護することと同時に、いつでも復元できる体制をどうやって築くかが重要」

と述べるパワーズ氏は、この障害時にDRプランを実践し、イミュータブル ストレージのおかげで大事に至らなくて済んだそうです。学校は一日休校にせざるを得なかったが、ランサム(身代金)は払わずに数日でシステムを完全リストアできたそうです。

VMwareエクソダス

VeeamONでは、当然ながら、BroadcomによるVMwareの買収、特にライセンス料金の値上げも話題になっていました。

建築資材会社Vulcan MaterialsのITマネージャー、ロブ・ドナルドソン氏も、更新料の急騰が頭痛の種だと訴えます。同社は結局、Veeamを利用して1,400件の仮想マシン(VM)をMicrosoft Hyper-Vに移行しました。

ドナルドソン氏は、移行を開始する前にハードウェアの状態を確認しておくことをすすめています。「半分ほど進んでから急に動かなくなったら大変だから」と。

一方、ロサンゼルス・エンゼルスのファリス氏もVMwareからの移行を検討しています。同氏によれば、MLB組織全体で移行先プラットフォームの評価作業が進行中なのだとか。

「Nutanixも選択肢の1つだけど、NutanixのインフラストラクチャとストレージがエンゼルスのSANにいまいち合わない」と、ファリス氏は吐露します。他球団の状況はわかりません。同氏によれば、MLB各球団のITチームは密に連携はしているが、完全につながっているわけではないそうです。エンゼルスはMLBを通じたライセンス購入を好む傾向があるようで、「VMwareもそうだった。MLBを介すると安くなったから。これまではねッ」と、ファリス氏は意味ありげに片目をつぶりました(いや、本当につぶったかはわかりませんが、そんな表情が目に浮かぶ談話です)。

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