最近では通常ハイパーバイザホスト(ESXiホストなど)+管理ツール(vCenterなど)といった組み合わせではなく、Kubernetesを管理ツールとして使用し、KVMホスト上の仮想マシンを管理(KubeVirt)するという選択も検討されている方も多いかと思います。

Kubernetesによる管理の自動化を仮想マシン対しても適用し、より効率的に利用できるようになるというメリットがありますが、バックアップという観点では従来の仮想マシンのバックアップツールではKubernetesを意識した動作は行えません。
これは、Veeam Backup & Replicationでも同様であり、KubeVirt上の仮想マシンとして保護することはできません。実施するとすれば、エージェントをゲストOS上にインストールしWindows/Linuxマシンとしてバックアップ、リカバリメディアを用いてリストアといった手間のかかる構成が必要になります。

しかし、VeeamとしてはKubeVirt上の仮想マシンとして保護することが可能なVeeam Kasten for Kubernetesという別製品をリリースしており、これであればKubernetesを意識して、そこで実行される仮想マシンのバックアップし、Kubernetes上のワークロードとしてリストア可能です。

OpenShift VirtualizationとSUSE Virtualization (Harvester)における、OCPバージョン4.14以降のvirtualmachineclusterinstancetypes
とvirtualmachineclusterpreferences
を参照するVMの保護をサポートしています。


Veeam Kasten for Kubernetesは、Kubernetes上のワークロードを保護するためのソフトウェアであり、Veeam Backup & Replicationとの連携はありますが、Veeam Backup & Replicationなしでも動作する独立したソフトウェアです。
バックアップポリシーやリストア操作など各種設定、操作はKubernetes上のカスタムリソースとして定義されるため、Kubernetesをすでに利用されている方は、Kubernetesの操作感でご利用いただけます。また、Veeam Kasten for Kubernetes専用のWeb UIも用意されており、ここでバックアップ等の設定やリストア操作を実施することもできます。

このように、従来のvSphereやHyper-V環境などのバックアップと同様にVeeam Backup & Replicationで管理することはできず、操作感や手順なども異なる点にはご注意いただく必要がありますが、KubernetesのワークロードとしてOpenShift Virtualizationなどの仮想マシンをVeeam Kasten for Kubernetesで保護することは可能です。
また、Veeam Backup & Replicationを含むVeeam Data Platformライセンスには、Veeam Kasten for Kubernetesのライセンスは含まれていません。専用のライセンスが必要であり、Kubernetesクラスタのワーカーノード数に依存したサブスクリプションライセンスとなっており、以下のエディションから選択いただけます。
- Veeam Kasten for Modern Virtualizationエディション:
KubeVirt上の仮想マシンのみを保護可能 - Veeam Kasten Enterpriseエディション:
KubeVirt上の仮想マシンとKubernetes上のコンテナ化アプリケーションを保護可能
Veeam Kasten for Modern VirtualizationエディションからVeeam Kasten Enterpriseエディションへアップグレードは可能であり、仮想マシン上で動作させていたアプリケーションをコンテナ化した場合には、ライセンスをアップグレードし、そのままVeeam Kasten for Kubernetesで保護を継続いただけます。
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