Ver 7特集④ バックアップ・レプリケーションのエンジン部分改良【Veeam Backup & Replication v7.x】


Ver 7では、WANアクセラレーションやvCloud Directorのサポートなど大きな機能追加が目立っているため、あまり取り上げていませんでしたが、基本的なバックアップやレプリケーション、UI部分などでの細かい部分でも機能の強化や追加が行われています。
今回は特に処理性能にかかわる部分であるエンジン部分の改良についてご紹介させていただきます。

• 複数VM、複数ディスクの同時取得オプションの追加
→Ver6.5まではジョブに登録された、各VMの各ディスクを一ずつ処理していました。Ver7からは複数のVMの複数のディスクを並列に処理できるようになり、処理の効率化や時間の短縮が可能になりました。

• レジュームの搭載
→データの転送時にネットワークが完全に切断された場合(短時間)でも、転送処理の再開が可能になりました。これにより、リモートサイトへのバックアップやレプリケーションの信頼性が向上しました。

• 圧縮時のハードウェアアクセラレーションの実装
→Ver7におけるデフォルトの圧縮レベルではVeeam独自のアルゴリズムにより高度なCPU命令セット(SSE extensions)を活用しています。そのため以前のバージョンにおけるデフォルトの圧縮レベルよりもプロキシのCPU使用率を最大10分の1まで低減することができます。
※圧縮による負荷としてはVer6.5のOptimalがVer7.0のHigh、Ver6.5のHighがVer7.0のExtremeであり、新たな圧縮レベルはOptimalとして追加されています。

• 64bitのデータ転送に対応
→これにより、大きなサイズのバックアップにも対応可能です。
※Windows 2012よりも古いWindowsのバージョンをレポジトリとして使用している場合には注意が必要です。NTFSの制限により、ファイルサイズが最大16TBまでとなっています。これはジョブあたりのデータソースのサイズが25TB程度時に相当します(重複排除、圧縮率により異なる場合があります)。

• バックアップレポジトリの過負荷からの保護
→バックアップレポジトリとなるストレージのI/Oが過負荷状態である際に、タスク用のスロットが割り当てられている場合でも、バックアップレポジトリに対して新しいタスクは割り当てず、過負荷からバックアップレポジトリを保護します。

• メモリ消費量の削減
→メモリ利用の最適化により、メモリの消費量を削減し、32bitのデータ転送であっても大きなバックアップをサポートしました。

• データ書き込みの際のI/Oパターンの強化
→バックアップファイルのフラグメンテーション(断片化)が減少しました。これにより、バックアップとリストアのパフォーマンス向上だけでなく、フルバックアップの変換に要する時間が短縮されました。

• 重複排除処理の自動無効
→フルバックアップファイルがVeeam B&Rの推奨するサイズを大幅に超えた場合、重複排除機能はそのバックアップファイルに対して自動的に無効になります。これはバックアップの設定が十分に考慮されていない場合やオプション設定を行っていない場合にも、ジョブの信頼性を高めるための機能です。

• サービス停止時の正常なジョブ停止
→Veeam B&Rのサービスを停止する場合(手動でのサービス停止やコンピュータのシャットダウン)、以前のバージョンではジョブを停止しておく必要がありましたが、Ver7からは全てのジョブを自動的に停止します。

• ホストの変動による影響の低減
→アップグレードやハイパーバイザの再登録によるホストの変動がVeeam B&Rのジョブへ与える影響を低減しました。

※Ver6.5での動作を保持するために、Ver7にアップグレードした場合これらの機能(ディスク、VMの並列処理、ストレージスナップショットからのバックアップ、新しい圧縮レベル)はデフォルトで無効になっています。そのため、必要に応じて設定変更を行ってください。

このように、信頼性、処理能力の向上といった点が大幅に強化されています。

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