「Reversed Incremental【差分バックアップ】と「(Forword)Incremental【増分バックアップ】」の違いと選択基準


Veeam Backup & Replication Version 6(※以下 Veeam)のBackup Modeについて説明します。Veeamではバックアップ時にユーザーが(Forword)Incremental(増分)又はReversed Incremental(差分)どちらのバックアップを行うか設定可能です。※デフォルトで増分バックアップを行います。

■Backup Mode「(Forword)Incremental【増分バックアップ】」

フルバックアップ後に増分バックアップを行います。
※週に1回はフルバックアップを取得する必要があります。

【特徴】
1)バックアップをディスクに取得後にバックアップファイルをテープに書き込み、又は遠隔地に移動させるような用を行う場合Backup Mode「(Forword)Incremental」が適しています。
※Veeamのオプション「Post job activity」と連携してバックアップデータをテープに書き込むことが可能です。

■イメージ

■VeeamのBackup Modeの設定画面

■増分バックアップのイメージ図

Backup Mode「(Forword)Incremental」では下記のオプションが設定可能です。

1)Enable Synthetic fulls
※定期的なフルバックアップ
2)Transform previous full backup chains into rollbacks
※バックアップ先のストレージ使用領域の効率化

1)Enable Synthetic fulls
「Enable Synthetic fulls」を有効にした曜日の1回目のバックアップは増分バックアップ時にバックアップ先の既存のバックアップファイルとマージして最新のフルバックアップファイルを作成します。

※イメージ図

2)Transform previous full backup chains into rollbacks
「Transform previous full backup chains into rollbacks」にチェックを入れて
「Enable Synthetic fulls」で設定した曜日でフルバックアップ時にディスクにある既存のファイルの内容を編集します。
※バックアップ先のディスクのフルバックアップファイルを常に1 つにします。

バックアップ先のディスクの内容は下記に編集されます。
・最新フルバックアップのデータを持ったファイルが1 ファイル
・差分のデータを持ったファイル
※差分のデータファイルは最新より前の状態へのリストア時に使用します。

※Increment モードでは「Transform previous full backup chains into rollbacks」の機能で定期的にフルバックアップを取得することでバックアップ先のディスク領域を効率的に使用できます。

例)月から日まで1 日1 回バックアップを行う。
※日曜に「Transform previous full backup chains into rollbacks」を有効にしてバックアップします。

土曜日にバックアップした状態で仮想マシンのリストアを行う際には
・フルバックアップのファイル
・土曜、日曜の差分バックアップファイル

を使用してリストア処理を行います。
※最新のフルバックアップのファイルから引き算をするイメージです。

■Backup Mode「Reversed Incremental【差分バックアップ】」

2回目以降は差分バックアップを行います。

【特徴】
1)初回のフルバックアップ以降はすべて差分のバックアップのみ行います。
※設定で定期的にフルバックアップも可能です。

2)バックアップデータをディスクに取得後にバックアップしたデータをそのままディスクに格納しておく場合にはBackup Mode「Reversed Incremental」が適しています。

■イメージ図

■VeeamのBackup Modeの設定画面


※差分バックアップのイメージ図

Veeam Backup & Replicationは最初に実行したフルバックアップファイルに2 回目以降の差分をマージしてフルバックアップファイルを常に最新の状態にします。※差分ファイル自体にはマージは行いませんのでデータ量は増えません。

例)月から日まで1 日1 回「Reversed incremental」でバックアップした際バックアップ先のディスクには下記のファイルが作成されます。

・最新フルバックアップのデータを持ったファイルが1 ファイル(フルサイズ)
・差分のデータを持ったファイルが6 ファイル(差分のデータサイズ)

※差分のデータファイルは最新より前の状態へのリストア時に使用します。

例)土曜日にバックアップした状態で仮想マシンのリストアを行う際には
・フルバックアップのファイル
・土曜、日曜の差分バックアップファイル
を使用してリストア処理を行います。

※最新のフルバックアップのファイルから引き算をするイメージです。

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