
「さくらのクラウド」とは、さくらインターネット株式会社が提供する、国産のパブリッククラウドサービスです。さくらのクラウドのサービス群のうち、Amazon S3互換ストレージとして「オブジェクトストレージ」が用意されています。「さくらのクラウド」のオブジェクトストレージは、業界標準のAmazon S3互換APIが実装されており、Amazon S3をサポートするAPIクライアントやアプリケーションと連携できます。また、国内にデータセンターが配置されているため、海外拠点を利用する場合と比べて通信遅延が少なく、国内の法規制・ガイドラインに準拠した高いセキュリティ基準でのデータ保護が可能となります。日本語マニュアルも提供されているので、初めて使う方でも簡単にセットアップいただけます。
「さくらのクラウド」のオブジェクトストレージは、クライムで取り扱っているバックアップソリューション「Veeam」の保存先としても使用することができますので、仮想/物理/クラウドと幅広い環境のバックアップをS3互換のオブジェクトストレージで保持することが可能となります。
本ブログでは、Veeamのバックアップデータを「さくらのクラウド」のオブジェクトストレージへ保存する際に必要な設定手順をご紹介いたします。
バケットの作成
バケットの作成・管理の操作はコントロールパネルから実施できます。
バケットの作成にあたり、まずはサイト(リージョン)を選択します。
※本ブログ投稿時点では、石狩サイトのみ選択可能です。
コントールパネル左側のメニューより「サイト」をクリックし、使用するサイトを指定します。

サイトの指定が完了すると、S3エンドポイントとオブジェクトストレージにアクセスするためのアクセスキーID/シークレットアクセスキーが発行されます。
※支払方法(クレジットカード or 請求書)の適用後に発行されます。


サイトの指定が完了したら、バケットを作成していきます。
コントールパネルの左側のメニューで「バケット」を選択し、「バケットの追加」よりバケット名を入力するだけで簡単に作成できます。


バケット作成後、一覧画面よりオブジェクトや使用容量といったバケットの詳細確認や、フォルダの作成などの操作を行えます。

Veeamにリポジトリとして登録
上記手順にてオブジェクトストレージ側の設定は完了したので、VeeamにAmazon S3互換ストレージとして登録します。
Accountステップでは、S3サービスエンドポイント/リージョン(サイト)/認証情報(アクセスキーID+シークレットアクセスキー)を指定します。

Bucketステップでは、バックアップデータの格納先バケットとフォルダを指定しますが、オブジェクトストレージ側にAPI経由でのバケット作成が実装されていないため、”Create new buckets automatically”の設定を無効化する必要があります。
※”Create new buckets automatically”の設定につきましては、こちらをご参照下さい。

残りのステップを設定したら、リポジトリの登録は完了です。バックアップ/リストアを実施してみたところ、正常に完了しました。
・VMバックアップ

・VMリストア

まとめ
「さくらのクラウド」のオブジェクトストレージは、国産のS3互換ストレージとして安心・安全にデータを保存できます。またVeeamと組み合わせることで、仮想/物理/クラウドといった多様な環境のバックアップを一元的に保護・管理することができます。バケット作成からVeeamへのリポジトリ登録までの手順もシンプルで、初めての方でもセットアップが容易です。
「さくらのクラウド」のオブジェクトストレージをご利用中の方はぜひ、本ブログを参考にVeeamのバックアップ先としてもご活用いただければと思います。
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