VeeamによるSAPバックアップ [Veeam Backup & Replication]


Veeamは、SAPのBRToolsによるバックアップと組み合わせて、SAPがサポートするバックアップ方法と連携して使うことができ、より迅速なバックアップとリカバリを実現します。

Veeamは、変更ブロック トラッキング(CBT)によるイメージレベルのバックアップと、アーカイブログのバックアップを作ることができ、一方、BRToolsは標準的なデータベース バックアップとアーカイブログのバックアップをサポートします。

処理はすべて、単一のスクリプトか、あるいはスケジューラーから起動し、制御することができます。例えば、直接Oracleサーバーを使うことも、UC4やTWSなどの外部のスケジューラーを使うことも可能です。

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Veeamバックアップジョブの使用

・ Veeamバックアップジョブ

Veeamは、バックアップモードの(バックアップ処理開始後の)Oracleデータベースも含め、SAPサーバー全体のバックアップを毎日実行します。このスケジュールはVeeamで設定することも、BRTools用のスクリプトで設定することも可能です。バックアップは、CBTや永久増分(forever-incremental)バックアップ技術を活用して、イメージレベルで行われ、既装備の複製・圧縮や他の諸機能を用いて、バックアップすべきデータ量を抑えながら、高頻度で行われます。

Veeamバックアップジョブでは、以下の各種復元方法を選択できます。

・ インスタントVMリカバリ

緊急時には、Oracleサーバーをバックアップファイルから直接ブートすることも、ストレージのスナップショットから復元することも可能です。これにより、SAPのOracleサーバーを(OSブート時間を除き)2分で立ち上げることができます。アプリケーションがオンラインに戻れば、SAPアプリケーションをつなげたまま、VM(仮想マシン)を元の実用環境のストレージに戻すことが可能になります。

・ Veeam Explorer for Oracle

Oracleデータベースをリストアポイントに復元することができます(後述のポイント イン タイム リストアの説明を参照)。SAPが稼動するシステムのOracleデータベースをサポートするDBAがいないときには、特に便利な復元方法です。

・ インスタント ファイルレベル リカバリ

Veeam Explorer for Storage Snapshotsにより、ストレージ スナップショットを用いて復元する方法です。Veeamは各種ストレージ システムをサポートします。

・ Oracle用Veeamトランザクションログ バックアップ ― Veeamバックアップジョブのバックグラウンドジョブ(子ジョブ)

標準的Veeamバックアップの子ジョブとして、VeeamトランザクションログとOracleアーカイブログのバックアップが、5分から1時間の周期で実行されます。時間とデータ量に応じて、古いアーカイブログが自動的に削除されます。

Veeam Explorer for Oracleが使用可能な、その他のジョブ:

上記の、リストアポイントへのOracleデータベース復元に加え、ログ リプレイからもOracleデータベースのポイント イン タイム リストアが可能です。Veeamがイメージレベルのバックアップからデータベースを復元し、アーカイブログ バックアップファイルから指定のリストアポイントへログ リプレイを実行します。さらに、特定のトランザクション(例えば、大量レコードを含むテーブルの削除など)を指定し、そのポイントまでの復元を選択することもできます。同処理はトランザクション ポイント リストアと呼ばれます。

・ BRTools BRBACK

SAPのBRToolsを用いれば、各種Veeamバックアップに加え、SAPの基準に則した、Oracleデータベースの完全なアーカイブログのバックアップを実行できます。作成されたバックアップファイルは復元時にフォールバックとして使用されます。BRBACKがVeeamサーバー上のシェアに対して実行されます(頻度は毎日あるいは毎週)。

この方法は、純粋なSAP独自のバックアップで、SAPによりサポートされたバックアップ方法です。現在のところ、Veeam Backup & Replication用のBACKINTインタフェースはなく、Veeamリポジトリ サーバー上のシェアがデータを格納します。Oracleデータベースのバックアップモードはより長い時間続くので、この方法はリストア頻度を下げて(例えば週ごとに)実行することができます。なお、より高頻度のバックアップは、Veeam Explorer for Oracleを用いたVeeamバックアップジョブで実行することができます。上記の方法は、あくまでファールバックとしての処理方式です。

・ BRTools BRARCH

BRToolsがVeeamサーバーのシェアに対して、Oracleアーカイブログのバックアップを実行します。BRARCHの頻度は、ログファイルの切り替え頻度に応じて、30分から4時間まで、自由に設定することができます。設定は、BRBACKの完全バックアップと同時に、リストアポイントへの復元にも適用されます。

環境設定パターン

Veeamは非常に柔軟に、あらゆる環境に対応します。バックアップ サーバーとその構成要素を物理サーバーにも仮想サーバーにも実装できます。Veeamバックアップのコピーは他の補助的なサイトに移すことも、Veeam Cloud Connectのサービスを提供するVeeam Cloud & Service Provider(VCSP)参加プロバイダに暗号化して送ることもできます。

Veeamは、ネットワークがない状況も含め、Oracleサーバーと様々な方法で連携することできます。ネットワークの設定やファイアウォールに応じて、Veeamをロールアウトすることが可能です。

あらゆる不具合やエラー状況に効果的に対応する最良のルールのひとつに、3-2-1ルールというものがあります。それにより、2つの重要な問いに対する答えが導き出されます。1つ目の問いは「バックアップファイルはどのぐらい必要なのか?」という点で、2つめは「どこに保存するのか?」という点です。

3-2-1ルールは、著名な写真家ピーター・クロフによって世に広められました。クロフの言葉を借りれば、人間には、記憶がすでに間違っている人と、将来間違うことになる人の2種類に分けられると言います。つまり、ストレージ(記憶装置)の不具合がすでに生じているか、将来生じるかの2通りです。3-2-1ルールはストレージの不具合が生じても、データが無事であることを確実にするためのルールであり、以下の3点にを守らなければなりません。

  • データのコピーを最低3件は用意する
  • 2種類の媒体にコピーを保存する
  • 1つのバックアップは違う場所に保存する

以下の2パターンは、「可用性」を確保する方法と、3-2-1ルールに則りながら、いかに業務に大きな価値をもたらすかを、端的に示す事例です。しかし、Veeamはその高い柔軟性により、さまざまな応用が可能で、問題解決が以下の2パターンに限られるわけではありません。

1つ目の例は、最低限の構成要素でデータの可用性を確立する、必要最小限の環境です。2つ目の例は企業環境に焦点を当てた、機能性に富んだ高可用性を示すものです。

必要最低限の環境

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この例では、すべてが単一ホストにおいて、単一のフラットなネットワークで稼動します。Veeam Backup & Replicationのサーバーは、ローカルディスクをともなう物理サーバーとして、あるいは、追加のNASストレージシステムにストレージを持つVM(仮想マシン)として追加されます。VeeamとBRToolsによるバックアップが可能で、Veeamサーバーへのアーカイブログのバックアップが実行されます。また、Veeam Cloud Connectのサービスを提供するVCSP参加プロバイダへの、Veeamバックアップのコピージョブによるデータ転送も実行されます。

このしくみでは、実用環境、バックアップおよびクラウドの3件のコピーが作成されます。そして、バックアップとクラウドという2媒体で処理され、クラウドの追加サイトでも保存されます。AES256-bitの暗号化によるクラウドへの接続を通じて、バックアップがオフロードされ、災害復旧対策としても有効です。しかも、第2のデータセンターやその他の追加リソースも不要なので、費用もかなり低く抑えられます。

3-2-1ルールは、あらゆる不具合の状況をほぼ網羅するので、かなり万能性の高いルールと言えます。また、特定の技術に縛られることもありません。高い可用性を実現するために、テープ、ディスク、レプリカVM、ストレージ スナップショット、その他あらゆる方法をとることが可能です。

企業環境

前述の通り、Veeamはさまざまな種類のストレージ、ネットワーク、ファイアウォールを用いた異なる環境に対応します。以下の例は、想定されるほぼすべての種類のバックアップを網羅した最善の組み合わせの環境です。しかし、このような企業環境においては、ストレージ スナップショットとの統合なしでも、バックアップは充分に機能します。

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当例では、数千のVM(仮想マシン)がデータセンターで稼動し、同期ミラーリングを行うストレージと組み合わされています。Veeamは、このようなゲストとの連携によって、すべての整合性とアプリケーションに適応した状態を確立し、バックアップに備えます。各VMにエージェントをインストールせずに行うので、更新時にかかる管理作業によるリソースの負荷を大幅に減少できます。

整合性が確立されたら、Veeamはその状態を保持し、VMスナップショットに保存した後に解放します。この場合、Veeamはストレージ システムと連携して、ストレージ スナップショットを起動し、直後には解放します。ストレージベースのスナップショット レプリケーションがデータを補助的なデータセンターに送り、Veeamがそのストレージからデータを読み取って、バックアップ メディアのロジック ブレークを発動します。これは、複数のVeeamプロキシ(データムーバー)を活用して、自動的に負荷調整しながら行われます。インラインの複製と圧縮でデータ量が縮小した後、バックアップがリポジトリ(ストレージシステムをともなうサーバー)に保存されます。

また、プライベート クラウドを使用している会社は、任意で、バックアップ コピージョブを使い、AES256-bitで暗号化されたバックアップ データを、会社所有のVeeam Cloud Connect for the Enterpriseが稼動するシステムに送ることも可能です。RPO(目標リカバリーポイント)をより頻繁にするために、追加でアーカイブログ バックアップとクラッシュ整合ストレージ スナップショットが5分から1時間ごとに実行されます。緊急時には、利用可能な高速リストアが数種類あり、必要に応じて選ぶことができます。スナップショットによるサーバーのインスタントVMリカバリ、VeeamもしくはBRToolsを使用したデータベースの復元、Veeamのクイック リストアによる変更ブロックのロールバック、などの方法が選択でき、また、これらの方法を組み合わせることもできます。

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