Hyper-VでLinuxを稼働させることの利点と制限


選べるというのは良いことだ。

IT業界20年超の経験から言うと、Windowsのみの環境を使用するクライアントはほぼ皆無か、いたとしても非常に稀有な存在です。ITは異種混合の世界であり、大半の企業には、多種多様なOS、ソフトウェア、ハードウェア、ハイパーバイザーから、各組織に特有の情報ニーズに最適な組み合わせを選択したい現実があります。今日のクラウド・ソリューションには、その選択肢のすべてをサポートする柔軟性が求められます。

クラウドに携わる者すべてはコラボレーションを希求し、複数ベンダーの製品が相互に補完しながらサポートし合うエコシステムの構成を目指し、パートナーシップの新しい形を追求するのは当然の成り行きです。Microsoftも例外ではありません。Microsoftにはかつて、自社で所有権を持つソフトウェアにこだわる閉鎖性がありましたが、今ではオープンソースのOSであり、重大な競合相手でもあるLinuxを重視するようになりました。Hyper-V上でLinuxを活用したい向きには朗報です。より良いパフォーマンスを享受できるのはもちろん、変革への確かな証しともなります。

なぜHyper-VでLinuxを稼働させるのか?

2、3年前までは、Windowsのホスト環境でLinuxの仮想化ゲストシステムを動かすことの問題点を論じる記事がネットに溢れていました。実際、MicrosoftとLinuxの歴史は極めて浅く、Microsoftのハイパーバイザーにおいて、Windows以外のOSは単にサポートされていませんでした。Hyper-Vの仮想マシン(VM)でLinuxのゲストOSを稼働させるには制限が多く、Hyper-V上のWindowsで得られる高度な機能、例えば、VMとの時刻同期やコンソール間のコーピー/ペーストなど、に比べて機能性もかなり劣ります。LinuxとHyper-Vの組み合わせは避けるべきもの、あるいは敢えて避けないのであれば、乗り越えるべき高い障壁が聳えていると考えられていました。

それも今や過去のこととなりました。選べるということの価値に気付いたMicrosoftは、Linuxのようなオープンソースのソフトウェアへのサポートを着実に強化してきました。

今日、Microsoftは完全サポートを確立し、LinuxベースのVMはWindows VMと同じように管理できるようになりました。これは、下記に挙げるいくつかの理由で、仮想環境の管理者には大変良い状況と言えます。

  • オープンソースのソフトウェアは商用ライセンスのソフトウェアより安くつく

ほとんどのLinuxディストリビューション(現在有効な75超のうちの大半)は、サポートとの連絡などで何らかの費用が掛かる場合を除き、基本的に無料です。低コストのオープンソースソフトウェアは、企業にとって大きな利点となります。特に、システム構成をスケールアウトしている環境(例えば、ワークロードを多くの小規模・省力コンピュータに分散している環境)では、この利点が顕著になります。

  • Linuxが消費するリソースはWindowsより少ない

Windowsサーバーのバージョンアップが繰り返されるたび、Microsoftはこの分野で着実に改善を進めてきました(2008年の2GBが2012年には1GBまで下がり、2016年のNano Serverでは300MBまで低減されました)。とは言え、Linuxの超節約レベルに匹敵するまでには至っていません。そもそもWindowsはリソース負荷の高いOSで、何層ものグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を駆使しています。そのため、アプリケーションに分配できるはずの膨大なリソースがOSに消費されてしまいます(Windowsサーバーは仮想プラットフォームとしては設計されておらず、Hyper-VがWindowsサーバーの基盤となります)。一方、Linuxはコマンドラインで管理され、GUIがなく、オーバーヘッドもありません。コマンドラインを活用するために、ある程度の開発スキルが必要になりますが、その分、システム機能に対するユーザーの制御力が増します。

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Linuxの普及を受け入れ、その完全サポートに踏み出したMicrosoftの判断は賢明でした。Linuxで稼働するすべての仮想ワークロードが、Hyper-V環境で処理できることになります。Linuxサーバーを利用している企業は非常に多く、基盤となるOSにオープンソースのソリューションを採用する企業にとって朗報です。Microsoftにとっても、Linuxの完全サポートが将来のさらなる成長につながるに違いありません。

Hyper-V + Linuxの留意すべき制限事項

Hyper-V上でLinuxを動かす上で、以前は懸案となっていた種々の問題の多くをMicrosoftは解決しましたが、当然ながら、完全無欠とまでは行きません。

現在のLinux / Hyper-V環境の課題としては以下2点が挙げられます。

1.Microsoftのサポートは、Linuxのコンテナ技術を最大限に有効利用できるレベルに達していない

従来の仮想マシン(VM)はメールサーバーに代表されるように、1つのアプリケーションに対し、1つのワークロードを起動します。しかし、コンテナ技術は単一VM内で複数アプリケーションを稼働させ、異なる機能の実行を可能にしました(つまり、各コンテナに分割)。コンテナは、カーネルやCPUなど、VMのリソースを共有でき、作業をより効率良く実行するためにVMのスケジュール機能さえも活用できます。コンテナ化でVMを分割し、多数のアプリケーションを同時にホストすることが可能になります。アプリケーションはどのマシンでも実行でき、1つのVMを数多くのコンテナに分けることができるので、リソースの節約にもなります。

Linuxのコンテナ技術はかなり成熟していますが、Windowsはそこまで進んではいません。Microsoftが独自の技術開発に乗り出してまだ2年ほどです。目下のところ、Hyper-VでLinuxコンテナを活用するには、Dockerを使わなければなりません。(Dockerは2つのOS間の溝を埋める橋渡し役のプラットフォームとなるソフトウェアです。)

2. MicrosoftはすべてのLinuxディストリビューションをサポートしているわけではない

Microsoftは着実にサポート範囲を広げ、Red Hat、CentOS、Debian、Oracle、Ubuntuなどの主流派は網羅していますが、あまり一般的でないディストリビューションを採用する場合、Linux依存のアプリケーションをHyper-Vに移行するには茨の道を覚悟すべきでしょう。

すべてのLinuxゲストOSをサポートするHyper-V管理ツールの必要性

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これらはゲストOSの種類を問わないソリューションであり、LinuxのVMは、Hyper-Vでサポートされる他のすべてのVMとまったく同じように、管理・設定・保護されます。

ご質問があれば、こちらから、ご連絡ください。

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