StarWind Virtual SAN (VSAN) は、Microsoft Hyper-V 環境と連携し、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ (HCI) の実現を可能にするソフトウェア定義ストレージ (SDS) ソリューションです。
これは、従来の共有ストレージ(SAN/NAS)を使用せずに、Hyper-Vホストサーバーの内蔵ストレージを論理的にプールし、高可用性(HA)と共有ストレージ機能を提供します。
StarWind Virtual SANとHyper-V連携の概要
StarWind VSANは、Hyper-Vクラスターに必要な共有ストレージを、サーバーローカルディスクを使って提供します。
- 内蔵ディスクのミラーリング: 複数のHyper-Vホストのローカルストレージ間でデータを同期的にミラーリングし、仮想的な共有ストレージを作成します。
- iSCSI/SMBの利用: この仮想的な共有ストレージを、iSCSIまたはSMB経由でHyper-Vクラスターに提示します。Hyper-Vクラスターは、これをクラスター共有ボリューム (CSV) として認識し、クラスター内のすべてのVMがアクセスできるようになります。
- 高可用性: データのリアルタイムなミラーリングにより、いずれかのホストやディスクに障害が発生しても、仮想マシン (VM) は別のホスト上で継続して動作できる耐障害性を実現します。これにより、Hyper-Vフェールオーバークラスターの構築が可能になります。
主な特徴とメリット
| 特徴 | 説明 | メリット |
| 共有ストレージの不要化 | 高価な専用のSAN/NAS装置が不要。 | CAPEX/OPEXの削減と、導入・運用管理の簡素化。 |
| ハイパーコンバージドの実現 | 仮想マシン (VM) とストレージを同じサーバーで実行。 | フットプリントの削減と、効率的なリソース利用。 |
| 高可用性 (HA) | 2ノードまたは3ノード構成での同期ミラーリング。 | 99.9999% の高い可用性と、データ損失からの保護。 |
| 標準ハードウェアの活用 | 既存または安価な汎用 (コモディティ) ハードウェアを利用可能。 | 特定ベンダーに縛られないベンダーロックインの回避と柔軟な拡張性。 |
| パフォーマンス向上 | ローカルディスク、特にSSDやNVMeの性能を活かし、データ読み書きを高速化。 | 仮想環境のI/O性能の向上。 |
連携のステップ(概要)
Hyper-V環境にStarWind VSANを導入し、クラスターを構築する基本的な手順は以下の通りです。
- StarWind VSANのインストール: Hyper-Vホストとなるサーバー(通常2台以上)にStarWind VSANソフトウェアをインストールします。
- 高可用性ストレージの作成: StarWind管理コンソールを使用して、各サーバーの内蔵ディスクを元に、同期ミラーリングされた高可用性 (HA) デバイス(仮想共有ストレージ)を作成します。
- iSCSI/SMBターゲットの提示: 作成したHAデバイスを、iSCSIまたはSMBターゲットとしてHyper-Vホストに提示します。
- Hyper-Vフェールオーバークラスターの構築: Windows Serverのフェールオーバークラスターマネージャーを使用し、Hyper-Vクラスターを構築します。
- クラスター共有ボリューム (CSV) の設定: iSCSI/SMB経由で接続された共有ストレージをCSVとして構成し、VMの保存先として利用可能にします。
- 仮想マシンのデプロイ: CSV上にVMをデプロイし、HA環境下で運用を開始します。
この連携により、最小構成の2ノードでも、VMのライブマイグレーションやホスト障害からの自動復旧が可能な、コスト効率の高いHyper-Vクラスターを構築できます。


